第9話

両開きのドアの隙間から、店内を盗みみる。



あれ?金髪じゃなくなったんすねー。茶色いのも似合ってます!



右手の親指を、ぐっ、と立てている店員さん。



…あー、あざっす。



戸惑い気味の、伊織くんの姿が可愛らしくて、思わず、含み笑い。



今、彼女さん、呼んできますねー



店員さんの声で、我に返って急いでパイプ椅子へ腰を下ろす。



ぴょこん。と、ドアから顔を出した店員さん。



「彼氏さん、来ましたよー」



にこり。



やっぱり、雰囲気が似てるな。




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