第9話 とある化学が進んだ国ルートB
「そいつらのことどうしたいって思った?」
「............なにも」
そいつは微笑しながら問いかける
「本当に?」
「.......本当」
そいつはギザギザの歯を見せながら笑った
「...アハハ。 強がるなよ 」
「だったら!なんだっていうんだよ!」
「何も?やっと、隠してた感情を見せたね」
「だから、それがなんだっていうんだ!」
「ここには君と僕しかいないんだよ?
もっと感情を見せてもいいと思ってね」
「だからそれを見て何がしたいんだよ!」
「本音が聞きたいんだよ。」
「じゃあ言ってやるよ
あいつらをころしてやりたい!」
「へぇー
やっぱり、あったじゃないか。殺意が」
それを聞いて我に我に返った
何をこいつに話しているんだ!?
ここにいてはいけないと警鐘を鳴らす
「何なんだ、おまえは」
「※※かな?」
聞こえているはずなのに聞こえない
見えるはずなのに視界がぼやける
脳が理解を拒むように
なんでこんなにも彼岸花が咲いている
そもそもここはどこだ
興奮して気づかなかったことに今さら気づき始める
俺は逃げ出した少しでも
少しでも
遠くにいくため
ハア
ハア
なんで
目の前
いるんだよ
「言ったじゃないか、神だって」
「さあ、君の願い事は?」
咄嗟に耳をふさぐ
「いって?」
耳をふさいでも聞こえる、そいつの声
「願いは...」
口が勝手に開く
やめろ
やめろ
やめてくれ
言ったら、もう
ひきかえせない
「ぁぃ...」
周りの景色が崩壊する
「あ~あ、時間切れか」
その声を最後に俺は意識を手放した
その後、病院に運ばれたらしい
「君が行方不明になってから1年間、
どこを探しても見つからなかったのにどこにいたんだろう」
聞かれてもわからなかった
こっちが聞きたいぐらいだ
あのことは思い出さないようにしている
でも時々夢に見る
あいつの笑顔が
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