第192話

「ぐっ…。ハ…イネ…。…………………ハイネ!!!!」



一度、確認するように深く抱きしめられ、意識がハッキリしたらしい八雲さんに抱き起こされる。



「ハイネ!!ハイネ!!」



「……………………八雲さん」




そんなに叫んだら、喉痛めちゃうよ…。



ポタリ。

ポタリ。



頬に幾つもの暖かいものが落ちてくる。




「………こん…な、いっぱい傷ついて…」



俺が…。




小さな小さな呟き。



違う。

違うんだよ。



八雲さんのせいじゃないんだよ。




八雲さんに抱きしめられてる暖かさと安心で、少しずつ意識が浮上する。



顔…。

顔を…。



見せて。



ない力を振り絞って、あたしは目を開けた。



のに、ポタッと何かが目に入ってまた閉じるはめになった。




「うぬぅ…」



水…??




「ハイネ!?」



悪いっと、ソレを拭ってくれる八雲さん



「ハイネ…」



「…やくもしゃ…」




そんな不安そうな声で呼ばないで。



あたしは大丈夫だよ。



だって…。




「ハイネ!!」




もう一度、目を開ければ。



やっと。

やっと、八雲さんの顔が見れた。




「…ど…したの??」

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