第18話

「この人、知りませんか?」

「…それ、どうしたのかな?」

男は笑みを浮かべたが、目が笑っていない。

「貼ってあったのを取ってきました」

沸き上がる恐怖心を押さえて答えた。

「違法ですよ」

「貴方もね」

僕はハッタリをかましてみた。

男は舌打ちをしてから携帯を出してどこかにかけた。


え?当たり?


「おぅカナ。見つけたぞ。…了解。とりあえず、な」

男は携帯を仕舞ながら、僕から紙を取ると丸めて捨てた。

「待ってろ」

男が指したベンチに座って診察が終わるのを待っていた。


カナって言ってた…偽名?

そういえば、リサも偽名だな……


僕も下の名前しか教えていない。


名字を言ったら、本当の身分がバレる。

それより何より、僕自身が名字を言うことを嫌っていた。


リサがずっと話し掛けてきていたが、僕は生返事だった。

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