いつか終わるなら、今この手で

第2話

「俺はいい。お前だけ行け」

先輩は僕の手を払った。

「俺はもう助からない」

先輩はポケットを探った。

動きがとても遅い。負傷しているから当たり前なことだけれど。

先輩はポケットからジッポを出すという動作だけで、ふぅと息をついた。

顔の血の気もすっかり失せてしまっていた。


空のポリタンクが近くにある。たぶん、先輩が撒いたんだろう。

それに引火させるんだろうことは容易に想像がついた。


「最後まで、言わないつもりか?」

僕は先輩の言葉に、ジッポから先輩に目を移した。先輩と目が合った。

「何をですか?」

僕は得意の作り笑いを浮かべた。

「気付かないとでも思ったか?」

先輩が今、言わんとしていることはわかっていた。


僕は――


「いつからだ?」

「それは思い違いです」


先輩に恋をしていた


けれど、言わなかった


だから、今もきっぱり否定した。


「じゃあ、なぜ、ここまで俺に付いてきた?」

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