6.泣いた道化師

 ある町に、大道芸人がきました。

 笑い顔のメイクをしたピエロです。ピエロはゆかいな芸で人々を笑わせます。

 いちばん前で見ていた子どもが聞きました。

「どうしてピエロはいつも笑っているの?」

「それはおいらにもわからない♪」

   🌟

 その町で、ピエロは恋をしました。

 気のいいピエロは、美しい踊り子にからかわれたのを、本気にしたのです。花束やブローチを贈りました。

 しかし、踊り子は、町いちばんのお金持ちの息子と結婚してしまいました。

 結婚式で、ピエロは笑っておどけました。

 子どもがまた聞きました。

「ピエロ、悲しいんだろ。なのに笑ってる。どうしてピエロはいつも笑っているの?」

「それはおいらにもわからない♪」

   💧

 踊り子と花婿はなむこは、ハネムーンに出かけました。

 オープンカーががけから落ち、ふたりとも死んだという知らせがとどいたのは、十日後でした。

 知らせを聞いて、ピエロは泣きました。

 笑顔のメイクが流れて消えても、泣いて泣いて泣いて、泣きました。

 ごはんも食べず、ねむることもせず泣きつづけ、泣きやんだとき、ピエロは死んでいました。

 ピエロのお葬式に、あの子どもがいました。

「どうしてピエロがいつも笑っているのか、わかったよ」

 子どもは涙をポトリと落として、「ピエロは泣くと死んじゃうんだね」と言いました。


 おしまい。

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