ミッションヲ開始スル
僕と朝倉さんは教習所を出ると、路上へ向かう教習車に追い抜かされながら一本道を歩いた。一本道は間隔を置いて十字路になり、分かれた道の先には住宅地が広がっている。主に市営住宅だったかと思う。
僕が十九歳なのだと打ち明けると、高校生ではないことに朝倉さんは親近感を持ってくれつつも「若い!」と叫びまた溜息を吐いた。なんだか申し訳なくて本当のことを言ってしまいたくなる。
十九歳ということになっているの(は内緒)であって、本当は四つしか変わらないんですよ。25歳なんです。もっと言えば朝倉さんは、僕の偽りの年齢と同じくらいにしか見えない。どう頑張っても二十歳前後にしか見えなかった。この時代では相当若く見える部類だろう。見た目もそうだが無邪気さがある。
「あ、うちそこなんです。一番奥の右側」
三つ目の十字路で立ち止まり朝倉さんが指差した先は、大きな一軒家が立ち並ぶ通りだった。奥は行き止まりになっているので居住者以外には車の出入りも多くなく、閑静な住宅街といった雰囲気がある。教習所へ行き来するのに必ず通った道なので僕も横目で見たことくらいはあった。
「大きいですね」
「土地が安いんですよ」
朝倉さんの応答は軽快だ。頭もキレるのだと思うが同じことを言われ慣れているのかもしれない。一番奥の右側にあるのは閑静な住宅街でもひときわ大きな家だった。遠目にも建物は大きく、こちらから全貌は伺えないが広そうな庭の一角に黄色い花がたくさん咲いているのが見える。
――――――ああ、ひとつ思い出した。
それらは杞憂に終わった。結果その店は一ヶ月も経たず店じまいをしたと聞いている。確か営業していた間に店を利用したことがあるという人は十名程度で、大変レアだというような。それは教習所で教員から聞いたのかもしれない。ローカルではあるが
―――――――これは話のネタにはならない。事前に知っていたところで道路の拡張はどうしたって防げないのだ。
住民ほぼ全てが反対したのに防げなかった工事だった。それに人が亡くなっている。そんな気の重くなるような話題を当事者になるであろう彼女に知らせるべきではないと思った。僕ならば聞きたくないし、朝倉さんの目を曇らせるようなことはしたくなかった。
「あっちに工場があるでしょう?灰が飛んでくるんで雑巾なんかかけたら真っ黒になるの」
朝倉さんの目線が向く「あっち」は僕の家の方角だから、じゃあうちの方がやばいな。もう夕方だからか煙突の煙は立ち上がっていない。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様でした。気を付けて」
空で「ドンッ」と短い音が響く。昨日は花火大会だった。毎年8月の最初の土曜日は花火、翌日にはストリート盆踊りが繰り広げられるのが恒例だ。見たことは無いがチーム対抗らしい。役所や地元の会社や有志の団体が参加する、この時代には早いコスプレやハロウィンの趣が強い祭だった。
「花火、この辺も家から見えましたか?」
「ええ、2階のベランダから」
一緒ですね。と僕は心の中で呟く。話が広がってしまうとアイスが溶けてしまう。きっと朝倉さんもそう思っている。一緒ですね。
またね、と手を振る朝倉さんに僕はお辞儀して小さく手を振って返す。こんなにも早く、―――――しかも相手の方から接触してきてくれるとは思わなかった。朝倉
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引き続き“あのスレ”に居合わせた彼らを繋ぐ合言葉をひっそり募集します。チーム名みたいになると嬉しいですが、そうでなくても何でも結構ですので、ダサいのください。後半の大事な場面クライマックスで登場させたいので思い付いた方はコメント欄にご記入いただければ幸いです。
一番ダサいことを言った方が優勝です。それ以外の応募作も全て作中で登場させます。
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