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「どうして?」


「どうしてって…」



それでも、冷静に返す私に、今度は困惑の色をみせた。



それを視界に入れながらも、私は淡々と続ける。




「今まで通りの生活を送るだけじゃないですか。あそこで出会う前と同じ。お互いに何かあったとしても関係ない」



出会う前は、お互い関わることなく、それぞれの生きる世界を過ごしていた。



その時に、彼らにあったことなんて知らないし、彼らも私に何があったかなんて知らない。



これから先も今まで通りに過ごせばいいだけ。



まだ出会ってから24時間も経ってないし、会った時間を全部合わせたってほんの数時間だけの、浅い関係でしかない。


それなら、いっそのこと出会わなかったことにしてしまうのも難しくはないはず。



これから先も、今までと変わらず、何かあったとしてもお互いには関係ない。



たとえ今回のことが関係していたとしても、それは事故と同じ。


誰に何が起こるかなんて、未来のことは誰にもわからないのだから。


何か起こっても、何も起こらなくても、誰のせいでもなく、それはそうなる運命だったんだと思う。

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