P.43

「南里ちゃん、本当に危険なんだよ?」


「わかってます」


「じゃあなんで?怖くないの?」


「別に」



具体的なことはわからないけど、いくら私でも彼の言う『危険』の意味を理解できていないわけじゃない。


それでも、だからと言ってそれに恐怖は感じない。



死ぬ方法を探している人間が、今更何に怖いと思うのだろう。ここで『危険』に怯えてたら笑っちゃう。





「私は大丈夫なんで、ほっといてください。」



このままここにいても埒があかないと思い、ソファーから立ちあがった。



ここがどこかはわからないけれど、拉致られたところからそう遠くはないはず。なんとか帰れるだろう。





「待て」



そう思って帰ろうとした私を、低い声が止めた。




それに振り返れば、今までずっと黙っていた総長様――桐谷耀がじっとこっちを見ていた。

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