美しい三つ子
第7話
《
最近は厄日なことばかりだった。
バイクは故障するし、女の集団に襲われかけ、男の集団に助けられたのに次はそいつらに襲われかけた。
電車に乗ればおっさんに痴漢され、パフェを食べれば、グラスが倒れて食えなかった。
恐ろしい、恐ろしい厄日だ。
『はぁ……。』
なんでこう毎日毎日……。
きっと今日も何かあるに違いない。
仲間たちは、俺の不幸話を笑いながらネタにする。
重い足取りで学校に向かっていた俺は、校門を前に自分の目を疑った。
そして、落胆した。
『最悪……また追っかけの女?』
ここに通っている暴走族【KINGDOM】の追っかけが、毎日のように校門に押し掛けてくる。
大体は、特攻隊の奴等が追い払う。
それなのに、三人も居やがる。
『おい!誰だ、てめぇら。』
これが、悲劇の始まりだった。
今まで目にして来た女たちの中で、群を抜いて美しく、洗練された雰囲気が漂う三人の女。
その女たちの存在は、暴走族とは畑違いにしか感じない。
「……かっわい。」
ふわふわとした金髪、大きな丸目、ピンク色の小さな唇で“美しい”と言う言葉を体現したような女は、その口から出たとは思えない低い声を響かせる。
女たちは、理事長室に行きたいと困っているらしい。
助けるべきだと思っても、心の奥の恐怖がそれを遮る。
困っている人……でも女。
『……い、嫌に決まってんだろ!自分で探せよ!』
防衛本能に負けた俺は、女を突き放す。
「そうか……困った。力を貸してくれないのなら、仕方がない。」
案外、あっさりと諦めた女にホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。
本当に、いいんだろうかと罪悪感が生まれた。
その瞬間、眉を下げて困ったような悲しい顔をしていた女の口角が上がり、目がギラついた。
危険を察知した俺は、罪悪感は何処へやら早く逃げたい。
『早く目の前から消え、』
ろ、と言い終わる前に、俺の視界が移り変わる。
細い腕で俺のことを俵のように持ち上げて、歩き始めた。
「……うるせぇ。」
『っ、』
絶叫する俺に、本当に同一人物が言っているのだろうかと、疑いたくなるほど低く這うような声。
落ちそうなのと、女に触られていること。
そして、自分の意思とは真逆のことをする女に恐怖で体が震える。
嗤う女の顔は、左目の泣きぼくろが恍惚と歪む。
「いっちゃん、怖い。」
一番身長が高く、金髪ストレートにタレ目なぽってりとした赤い唇が、魅惑的な空気を醸し出している妖艶な女が顔を青くする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます