プロローグ
暖かな風が桜の樹を揺らすと、桜の花びらがヒラヒラと散り往く。
緩い坂道は桜の花を絨毯に、堂々たる私立学園への道を彩り、桜の中を生徒たちが参考書片手に登校する。
そんな生徒たちの中に、三人の少女。
彼女たちは、学園では“異質”と呼ばれる存在だった。
文武両道を教育理念として掲げ、勉学に忙しい生徒たちは登校時間も下を向く。
しかし、少女たちは桜を観、談笑している。
この日本を象徴する桜があるのも、理事長の趣味が深く関係している。
三人は、学園でも頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群と評され、有名だった。
才色兼備を体現した彼女たちに、下を向いていた生徒たちも羨望の眼差しを向ける。
頬を染め、うっとりと彼女たちに見とれる。
雰囲気は三者三様なものの、外見は似ている三人。
それもそのはず、彼女たちは三つ子。
絶世の美少女と呼ばれる、長女の大神一樹。
ふんわりとした柔らかい雰囲気と天使のような容姿は、男だけではなく、女まで虜にする。
クール美女と呼ばれる、次女の夏樹。
冷たく人を寄せ付けない雰囲気を醸し出しているのにも関わらず、本当は頼りがいのある姉御肌と慕われている。
魔性の美女と呼ばれる、三女の亜樹。
妖艶なフェロモンを漂わせ、幅広い世代を誘惑する。
「一樹お姉様、花びらが髪の毛に付いていますよ。花びらにも好かれるんですね。」
亜樹が隣を歩く一樹の髪に触れ、髪に引っ付いた桜の花びらを摘まみ取る。
そして、自信の掌に乗せると、ふっ…と息を吹き掛ける。
ヒラリヒラリ、と亜樹が飛ばした花びらが風にのって流れて行く。
「ありがとう。」
一樹の言葉に、亜樹が頬を紅潮させてうっとりと桜の樹に視線を移す。
この時の三人はまだ知らない。
あと2年、この退屈で窮屈で怠惰な生活が続くと思っていた。
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