第47話

雨が降って、冷たいハズなのに、どうしてか聞こえてくる声だけはとても優しくて、温かく感じる。



それが冷たい俺の心を癒してくれるかのような、とても安心する声。





咄嗟に俺は何も考えずに、顔を上げた。



俺がさっき酷い事を言ってしまった薺さんがそこに立っていた。



傘を持って。





『帰れ。お前の居場所はこんな所にはねぇから。』



その言葉は俺を引き放してしまうように聞こえた。



俺が欲しかった言葉はそんな言葉ではなかった。



『帰ろう』



一緒に帰るという言葉が欲しかったのだ。



でも、彼がそう言うことはなかった。



何故か、彼は俺にそう言ってはくれなかった。




一人で帰れと言ったのだ。





俺が初めにあんな酷い事を言ったからかもしれない。



俺の事を嫌いになってしまったのかもしれない。



俺は自分がさっき言った言葉を後悔した。




こんなに優しい男に、傷つける言葉を言ってしまって後悔した。

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