第372話
色々あり、彼とは仲良く過ごすようになり、進路を考える時期になった。
この学園はエスカレーター制なのだが、俺はこの学園にいる事で自分が窮屈になっている事に気がついた。
別に親のレールに従って生きるのもいいと思っていたのだが、やはり…学生の最後のこの時だけはどうしても自分の思うように生きたかった。
「ねぇ、乃威。」
「何だ?」
「俺と一緒にさ…非行に走ってみない?」
乃威は何も理由を聞かずに、ただ黙って頷いてくれた。
きっとその言葉の意味を彼は分かっていたのかもしれない。
俺が、桐生君にもう一度会いたくて……そう言ったのを彼はきっとわかっていたのだ。
母上にはかなり反対された。
想定内ではあったが、かなりきつい罵られ方だった。
でも、桐生君にもう一度会うためなら……と思い、俺は耐えた。
しかし、意外にも父上からは何も言われる事がなかった。
父上は兄がこの家を出る時も、何も言わずに黙っていた。
きっと、父上は子供を縛り付けたくはなかったのかもしれない。
不思議な父親だと俺は思った。
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