第286話
「達沙はな、私ら姉弟の一番大切なヤツなんだ。
一番ナイーブで、一番可愛くて、一番優しいんだ。
そんなヤツを弟に持つと、何だかんだ言って私らは心配なんだよ。」
幸さんのその気持ちは、俺にはよく分からなかった。
実際に俺は、桐生君と同じ末っ子なワケだし、上の姉や兄の気持ちは分からない。
実際になってみなくては、結局は何にも理解出来ないってこと。
「…そうですか。」
「さて、これから何をするのかは知らぬが私らは邪魔なのだろうな。
郁姉、私らは退散するとしよう。」
「え~!!まだいたい!!」
「主の今日の飯は抜きでもよいのか?」
「はぁ~い、喜んで退散いたしまぁす!!木下君もごゆっくり~。」
ガチャンッ…────
嵐はようやく過ぎ去ったようだった。
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