第272話
でも、当の本人はそれに気づいてはいないらしい。
それを見てニッコリと微笑み返し、嬉しそうに答えた。
「マジで!?サンキュー、西園寺(サイオンジ)。」
さり気なくアピールも気づく事なく、遠慮なしにそのタオルを受け取って自分の汗を拭きだす。
ああ、きっと彼は鈍感なんだろう。
というよりも、彼女が惨めで仕方がないのだけど…。
なんて、内心思いつつも俺はそのやりとりから目を離した。
自分の席は窓側なので、ジッとそちらの方に目を向ける。
どうやら、今日はカラッとしていてとても暑いようだ。
空が青々としていて、雲一つない青空だ。
空を見ている時だけ、自分が自分でいられるのでこの時間だけはとても好き。
どうか…どうか今日もただ普通に時間がすぎますように。
俺はらしくないような想いを持って、そう空に願った。
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