第35話

私はその後を述べることはできなかった。



できるはずもない。






そこに……予想だにしない相手がいたのだから。




お父様の隣には涼がいたけど、その向かい側には見慣れた彼が座っている。



どう、して?



どうして、彼がここにいるの?









「遅かったな、紗綾。客人がお待ちだぞ。」



「まあまあ、ご息女も今はお忙しいんでしょう?そう邪険にしないであげてください。」



私は足が動かなくなったようにその場から離れることができない。




「紗綾姉?どうしたの?」



涼が私の名前を呼んでくれたと思うのだけど、それすらも耳には入らない。



今私の視界をいっぱいにしているのは、彼だけだ。

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