第33話

「お久しぶりね。」



「お嬢様。お帰りなさいませ。」



メイドの一人が私を迎えてくれて、私のバッグを持とうとしてくれた。



それを断って、私は涼に呼ばれたことを伝えると、彼がいる場所まで連れて行ってくれる。



屋敷内を歩いていると、久々に見る光景に少しだけ傷が抉られていくような気がした。



吐き気がし始めたが、私はふと彼のことを頭に思い描く。



―――…砦。



彼の姿を思い描くだけで、心が穏やかになる。



………大丈夫、大丈夫だ。



「お嬢様?」



心配してくれているみたいで、メイドは私の肩に手を置いてくれる。




「大丈夫。早く行きましょう。」



「……分かりました。」

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