拉致と救世主
第276話
『まあ、噂だから分からねえし、俺にも根拠はねえ。―――…余計なこと言って、悪かったな』
上条さんはそう言って、マンションの前まで私を送ってくれて別れた。
……彼は私にそれだけを伝えるために会いに来てくれたのだろうか?
悪いことをしてしまったような気がするが、彼にそんなことを思うのは多分失礼だとも思う。
心の中で感謝して、心の整理が落ち着いてから今度は砦と一緒に会いに行こうと心に決めた。
―――…どうか彼が、幸せな日々を送ってくれるように。
そう願わずにはいられない。
私は上条さんの背中を見送った後に、自分のマンションに入って行く。
とりあえずカードを最初の玄関に通して、扉が自動で開いたのでそれに入ったと同時に―――…一緒に入ってきた男性がいた。
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