第182話
そういえば、誕生日おめでとうメールをくれたのに返事をしていなかった。
……あの時、携帯を使う余裕なんてなかったんだもの。
しかも、その後、修誠さんに携帯折られたし。
とりあえず、それについては新しく協さんが携帯を買ってくれたのでもう何も言わないけど。
「上条さんにはよろしくお伝えください。」
「……深夜?」
何故上条さんにそんなことを言うのかという顔をしていたが、何となく察しがついたのか納得してくれた。
しかし、彼はそれを受け取ろうとはしてくれない。
「それ、本人に言ってあげて。会いたがっていたから。」
会いたがっていた、か。
そう。
彼は私を迎えに行くからと言ってくれた。
けど、彼には申し訳ないけれど―――…もう私に残されている選択肢は一つしかないのだ。
あんなに大切にしてくれた上条さんに、恩を仇で返すみたいで嫌だけど―――…本当のことを言わないまま別れるのはもっと嫌だ。
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