第172話

「ちっ、面倒なことになった。」



城は舌打ちをして、目の前に置かれてあったグラスの中身を右隣にいた女に勢いよくかけた。





「きゃあっ…!!」



「うお…っ!!」



その隣いた男にも多少かかったようで、叫び声が二つ聞こえた。



……苛立ちを物に当たるクセは、彼の悪い所だ。






しかし。










「ちょっと、城様。やめてよー。」



「それ、中身コーラじゃん。マジでべとべとなんだけど。」





誰も、怒らない。




―――…そう、ここはおかしい。



狂っているのだ。






「しゃーねえだろ。こっちは『キング』の我儘にイライラしてんだからよ。」



「『キング』様の我儘はいつものことじゃん。てか、それも含めて惚れてんでしょ?城様は。」

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