第119話

………え?



誰もが真護さんは砦を殴るものだと思っていたので、驚いた。



しかし真護さんの顔は歪み、右腕を力なく下ろす。






「……さあや、どうして、コイツ、名前。」



何を言っているのか最初理解できなかったけど、砦にはすぐ理解できたらしい。



『どうして、砦の名前を呼ぶのか』ってことかしら?




「真護、さん?」



「おれ、くやしい。……こんな、好き、なのに。」



それは私に対する告白なのだというのは、私にだって分かった。



それでも受け入れることができないのは、真護さんの目の前に彼がいるから。



ううん、目の前に彼がいなくたって――…私の世界に彼がいる限り、真護さんのその言葉に応えることなんてできないのだ。

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