第104話

このホール内の誰もが那留兄さんに視線を向けているが、当の本人は四谷さんしか見つめていない。



……いつもの優しそうな那留兄さんは、どこにもいないのだ。



私はそんな那留兄さんを見つめていると、彼はテーブルの上に無造作に置かれていたダーツを手に取る。



何をするのだろう、と思ったのも束の間だった。













「―――…っ!」



四谷さんの顔の横を通り過ぎ、それは空しくも壁に突き刺さる。



流石の四谷さんも那留兄さんのその行動に、目を見開かせた。





「…………。」



無言で四谷さんを睨んでいる那留兄さんの瞳からは、“当たればよかったのに”という言葉を剥き出しにしているようにも見えた。

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