第93話

「紗綾には指一本たりとも触らせてなんて、やらねえぞ。」



表情はここからは見えないけど、彼のその声色からして怖い。



自分に何かできることはないかと視線を泳がせていると、真護さんと修誠さんの間から四谷さんが姿を表す。



……顔は、笑っていた。





「三対一でやる気か?いくら何でも、無謀すぎんだろ?」



「無謀だあ?あんまなめてっと、ぶち殺すぞ。」



二人の睨み合いが続く中で、四谷さんは笑みを絶やさない。



その笑みが絶えないということは、彼には心の余裕があるということだ。




「守る相手がいるということは、それだけお前は不利になるってことだ。お前はそれが分からないほど、馬鹿ではないだろ?」



―――…的を得た回答だ。



そう言われて、ズキリと胸が痛んだ気がした。

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