第599話

給仕係でも増やしたのか、提供スピードが早く意外と早めに席に座れた。


注文したのは唐揚げのみ。


で、お弁当を開けてみるとハンバーグがドーンッと真ん中に入っていた。


白ご飯は左右に寄せられている。


なんだろう?


普通は片方じゃないのかな?


なぜ、この配置にしたのか………………


まぁいいや。


ハンバーグと唐揚げって最高の組み合わせじゃない?


野菜はミニトマトとハンバーグの下にあるしっとりレタスのみ。



「今日は本当に嬉しい日だよ。学食は元々安いのに、さらに安いってさ」



「そうだね。1人暮らしの人は凄く嬉しいでしょうね」



500円のコインでお釣りがくるのだ。


親元を離れて暮らしている人にとっては嬉しいはずだ。



「なんだか、悲鳴をあげていたんだよねぇ」



ん?


悲鳴?


誰が?


学食で悲鳴をあげていた人がいたの?



「誰が悲鳴をあげていたの?」



「海さんが、声にならない悲鳴をあげてた」



なんだ、海のことか。


学食が更に安くなったから発狂した人がいたのかと思ったよ。



「………………なぜ?」



「なんか、あったらしいよ」



「………………何かあった?仕事で?」



「仕事はいつも通りだけど、スマホの画面を見ながら声にならない悲鳴をあげていた。で、床をバシバシ叩いていた。頭大丈夫?おかしくなった?って聞いたんだけど、大丈夫だから心配しないでって言って、店に行って来ると言って出た。戻って来たと思ったら、盛大に大きなため息してたなぁ」



それは、光さんに呼び出されて何か言われたのでは?


真理亜の件かもしれない。


あの日から2日経過したが、光さんから連絡は来ない。


全く動いてないってことじゃないと思うけど、私に伝える話しはないということだろう。


伝えなければならないことがあれば言ってくると思うし。



「きっと何かあったのね。でも、本人が何も言わないなら大丈夫だと思う」



「裏関連なら言わないじゃん」



「………………それはそうだけど。兎に角、何かあれば本人から言ってくるから心配しなくて大丈夫」



海に動けと指示したなら動くと思うけど、大きなため息ねぇ。


また、面倒な事に巻き込まれて、とか思っているのだろうか?


好きで巻き込まれたわけではない。


今回は真理亜が悪いわけじゃなくて、柚月の部下が馬鹿なことをしたからだ。


そこはちゃんと理解してほしい。



「あっ、私、内定1つもらったの」



「えっ?」



内定ってことは、就職先ってことだよね?



「おめでとう。そこに決めるってわけじゃないの?」



「まぁ、そうだねぇ。本当は別なところに行きたいけど、競争率高そうだし」



勉強が出来ても面接で落とされるのが多いらしいが、競争率が高い企業はどこを見て決め手にするのだろうか?


身だしなみは当たり前だと思うから、会話の仕方で決めるのだろうか?



「海には伝えたの?内定1つあるって」



「伝えたよ。まぁ、納得はしてないけど、内定はもらったからおめでとうって言われた」



「あら、お祝いの言葉は出たのね。どんな会社なのか調べるのが先かと思ったけど」



行くな、とは言わないのね。


その言葉を言ったらいけないって分かっているのだろう。


ご飯を食べ終えたあとは、いつも通りの授業を受けた。


全ての授業を終えたあとで、就職に関することが載っている掲示板のところに行く。



「………………」



掲示板に貼り出されている求人を見た中で体験OKと記載されているのは2つのみだ。


土日のみ受付している企業と平日も受付している企業。



「あれ?椎名さんも求人票見に来たんだ?」



声を掛けられたので振り向くと日向がいた。



「そうだけど」



この人、求人票なんて見にきてどうするの?


そっち系の知り合いがたくさんいるのだから必要ないのでは?



「嫌そうな顔しないでもらえるかな」



「………………」



顔に出てしまうほど、不思議に思ってしまっていたらしい。


申し訳ないことをしてしまった。



「ごめんなさい。別に、嫌とかじゃないから。あなたも求人票を見に来たの?」



「そう。ここの求人票はネットにはないから。椎名さんもそうでしょ?」



それは否定しない。


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