第597話

ー 光のお店 ー



真理亜の件を共有したところ、孝文と蓮がお店にきた。


いつもの部屋へ通した後は3人だけで話し合いだ。



「凛ちゃんのことかと思ったら、真理亜ちゃんだったので驚きましたよ」



「悪いな。仕事中だったろ?」



「大丈夫です。目を使い過ぎていたので。採点の作業って目がチカチカするんですよ」



孝文は目尻を押さえて上にクイッとあげる。



「ミンエイは何してたんだよ。あいつ、頼んだ仕事も出来ないのか?こんなんじゃ、怒られちゃうじゃん!報告したよな?もうしちゃったよな?マジかぁ、うわぁ、ヤバイじゃん」



いつも通り蓮はうるさい。


そんな蓮など全く気にしない光は1枚の紙をテーブルの上に置いた。


それを孝文が手に取り内容を確認する。


そこには、真理亜に付き纏っている男の情報が記載されていた。


短時間でここまでの情報を調べられるわけがない。


情報収集は孝文と蓮の仕事でもあるのだ。



「この資料はどこで?光さんが?」



「海が持ってきた。コンビニの帰りに風間の部下が近寄って来たらしい。その紙を渡すだけで詳細は話さなかったらしいがな」



「なるほど。そういうことなら納得です。下調べが終わっているなら早めに動くことができますね。でも、この男は………………柚月の部下はとんでもない失態をしましたねぇ」



「大したことがない男なら放置していたはずだ」



「喜一を崇拝している組織の男なら話は別ですからね。凛ちゃんの件が落ち着いたから誠也さんも少しは安心できる環境になったと思ったところで、また喜一の名前を聞くことになるなんて残念ですね」



孝文は隣にいる蓮に先ほどの紙を渡した。


それを受け取った蓮はその内容を読み始める。


読み始めてすぐに眉間に皺が寄り、頭を横に傾けた。


そして深いため息を吐き出す。



「なーるほどぉ。ミンエイよりこの男のほうが上手だったのかぁ。喜一はもう亡くなったじゃん!もういいじゃん!組織も解体してくれよ。亡くなったのにいつまで崇拝してんだよ。神様じゃないんだからさ。指示だってされないじゃん!なんなわけ?ねぇ?なに?つーか、柚月の部下は馬鹿だよね?ちょっと連れて来てよ。処罰はなし?なしってわけないでしょ?えっ?マジでないわけ?それこそあり得ないし!!!」



よく喋るのはいつも通りだが、目は怒りでいっぱいだと語っていた。


そんな蓮を見て光はため息を吐く。



「蓮、落ち着け。柚月の部下の失態はあっちが対処することだ。今はそんなことより、この状況をどうにかすることを考える。誠也がいない今は俺たちで対処するしかない。誠也が日本に戻ってくる前に片付けられたらいいが………………この組織が規模が大きい」



誠也が明日明後日に帰って来るなら、指示待ちができるが戻って来るのはまだ先のことだ。



「光さん。取り敢えず、真理亜ちゃんの周りをどうするか決めましょう。今のままでいいのか、愁についてもらうか。自然に近くに寄れるのは愁くらいでしょう。蓮は情報収集をやってもらいますし」



「まぁ、そうなるよなぁ。海なんて付けたら、問題起きそうだ」



「そうですね。彼は立っているだけで威圧感ありますからね。柚月から離れても染みついたものは抜けませんね」



「この先もずっとあのままだろう。海では相手を刺激する」



組織の男ならすぐ気づくはずだ。


それに、海の顔を知っているかもしれない。



「なぁ?誠也なんて言ってた?怒ってた?」



蓮は、誠也の反応が気になってしょうがない。


光はそれに気づいているのか、蓮の頭をグシャグシャと撫でる。


綺麗にセットしていた髪がボサボサに乱れてしまったが、蓮は嫌がっておらずされるがままだ。



「誠也は怒っていない。お前らに対して怒る理由はないだろ?今やることは誠也が帰って来る前に整えることだ。それをしていなかったら怒るぞ、アイツは」



出来ることがあったのに、出来ていなかったら怒る。


そっちのほうが普通に嫌だろう。


蓮はコクリと頷いた。



ー 光のお店 end ー

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