第596話

柚月の事情はどうでもいい。


裏関連なら早く片付けなければならない。



「真理亜、悪いけどゆっくり食べている暇はないから、注文はここまでにして。来た料理はすぐ食べて欲しいの。光さんがここに迎えに来るから、その時に対処して欲しいって話す」



「分かった!」



柚月の奢りだからと大量に食べたい気持ちは分かるけど、それは次の機会にしてもらう。



「柚月、風間には待てと言って。あの人、我慢できなくて動くかもしれないし、表の常識は裏には通用しないから」



「了解」



頼んだ料理が全て届くと、真理亜は黙々と食べ始める。


雪は落ち着かないのかソワソワしているが、今は光さんに話しをしなければ何も進まない。



「もう大丈夫そうだから先に帰るよ。会計は済ませておくから」



柚月は伝票を手に持つ。


言いたいことは言ったから帰るのか。


あと、光さんにバッタリ会わないようにってこともある。



「私の胃は満たされない!別の何かを食べさせろ!」



「はいはい。白井さんには悪いことしちゃったからね。そのつもりだよ。食べたい物考えてね。時間を作ってたくさん食べさせてあげるから」



柚月は軽く手を振って去っていく。



「それで許されると思うな!」



真理亜はテーブルの端をバシバシと叩きながら言った。


あまり効果はないが、満足していないということは伝わったはずだ。



「今度はお店を貸切にして食べさせてもらう!」



「そうね。それなら周りのお客さんのこと気にしなくていいから」



でも、ご飯の奢りだけでいいのか?


もっと別のなのかを要求してもいいと思うけど。


真理亜がご飯だけでいいならそれでいいけど。


怒りながら食べるとスピードが増すらしくあっという間に食べてしまった。


お店から出てすぐ、光さんの車は止まっていた。


助手席は私が座り、真理亜と雪は後ろに座る。



「光さん。大変申し訳ないけど、ちょっとマズイことになったの」



「はっ?今度は何をした?また何か呼び込んだのか?」



呆れているけど、私が呼び込んだわけじゃないからセーフかな?



「私じゃなくて真理亜です」



「………………今度はそっちか!?」



柚月の話を光さんにも話すと頭を抱え込んだ。



「アイツの部下は使いもんにならん。何がどうなってそうなったんだよ。なんでペラペラ喋るんだ。もっとマトモな………………あぁ、海がこっちにいるからか」



その通りだ、としか言えない。



「まぁ、あれだ。すぐに対処する必要がある。単独で動いているらしいが、家の場所も把握して行動範囲も分かっているだろうな」



「このまま家に帰ってもいいの?」



「隠れる場所があると思うか?相手は裏だから裏の場所にでも隠れるか?それをやると、裏に関わっていると判断される。そっちのほうが面倒だろ。俺のところでもいいが、うるさいヤツがいるからなぁ」



うるさいヤツというのは海のことだろう。


大塚さんのことを考えると、あのお店には行かないほうがいい。



「今日はこのまま家まで送る。急に変わったら会いに来るぞ。変化が起きたと判断されたら面倒だ」



真理亜を自宅まで送ったあとは雪の家に向かう。


ここまで静かだが、大丈夫なのだろうか?


自分じゃ何も出来ない、とか思っているのか?


そう思っても仕方がない。


表が裏に勝てるわけがない。


雪を門のところで降ろすと、今度は私の家だ。



「誠也がいない時に、何か起こるかもしれないと思ったが、そっち側で起こるとは考えてなかった。つーか、普通は黙っておくもんだろ。柚月の部下は素人なのか?一般人を雇ったわけじゃないよな?」



奏多は風間のところにいたらしいけど。



「今回はみんなに話しを?」



「そうだな。全員と共有させる。まずは、どこの裏のヤツかだ。柚月と連絡を取り合う必要があるが………………アイツは大人しく情報を渡すか………………渡さないよなぁ。あっちが悪いのになんで交渉なんかしてくんだよ」



「裏なので」



「そうだな。裏だな!凛、絶対に単独行動はするなよ。大人しくいつも通りにしろ」



それは、真理亜のことを自分で守ろうとするなってことだね。


分かっている。


この件は光さんたちにお願いするしかない。

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