第584話
コーヒーのいい香りがする。
コーヒーって香りにも特徴が出ると思う。
香りで選ぶ人もいるのかな?
「今日は時間を作ってくれてありがとう。壱夜君に相談したら、もしかしたら頼めるかもしれないって言ってくれてね。本当に助かったよ。こんな小さいお店でも、たくさんのお客さんが来てしまったら、捌けなくなるから」
目の前に置かれたコーヒーを見たとき、カップが可愛いと思った。
「予約のお客様とかですか?」
「そうなんだよ。壱夜君も手伝ってくれるっていうから助かったよ」
はっ?
柚月を見ると冗談とかではないとすぐに分かった。
いつもニコニコと誤魔化すのに、今日は笑っていない。
この人にはお世話になったからなのか、誤魔化すことはしないのかもしれない。
というか、接客なんて出来るの?
「予約とは団体ですよね?」
「二次会だよ。結婚式の。食事の提供は少ないけど、全く出ないというわけではないから」
なら、飲み物が多く出るかもしれない。
重い料理は出ないが、軽食系は出るということか。
二次会というと夜か?
「時間は夜ですか?」
「二次会は夜だけど、夕方から働いてもらうつもりなんだ。すぐに働けないと思うからね。一次会が終わった後だから21時とかになるかな。遅くなると思う」
2時間と考えると23時。
片付けもあるからもう少し掛かるだろう。
いきなり、本番はさすがにキツい。
だから、少し予行練習をさせて貰えるならありがたい。
「分かりました。問題ないです。主に注文を聞いて料理を持っていく感じでいいですね?」
「簡単な飲み物は作ってもらうよ。お酒も作ってもらう」
「分かりました」
ふむ、そこら辺は問題はない。
私の表情筋に問題があるかもしれないが………………
「二次会だから酔っ払いもいるかもしれないからね。結婚式が終わった後だしみんなテンションは高いと思うんだ。絡まれるかもしれないし。そうなった場合は言ってほしい。壱夜君もいるし、助っ人はもう1人いるんだ。奏多君もいるからね」
………………。
なるほど。
では、こちらからも助っ人を呼ぼうかな。
ここで大塚さんを降臨させてしまうと、海が騒ぐと思うので真理亜を降臨させてもいいだろうか?
まずは本人に確認しなきゃいけないけど。
「助っ人をもう1人呼んでもいいですか?私の友達です」
「えっ?いいのかな?」
「増えて問題がないなら」
「一気にお客様が入るから呼べるなら呼んでほしいかな」
「分かりました。声をかけてみます」
まかないが食べられると言えば来そうだけど。
「誰を呼ぶの?椎名さんの友達なら海の彼女?それなら海もセットだよね?」
「大塚さんを呼んだら、海がうるさいから呼ばない。それに、光さんのお店だってあるから。私が呼ぼうとしている子は真理亜のこと」
「白井さん?大丈夫なの?」
「大丈夫。あの子は、フットワークが良いから。愛嬌もあるでしょ?」
私より交わし方が上手いと思う。
スマホを取り出してメッセージを送る。
この時間だと家に帰っているか、どこかのお店で何かを食べているかもしれない。
「あっ、返事来た」
「もう来たの?即レスじゃん」
確認すると【いいよ】とのこと。
「来るって」
「あ〜、そうなるか。まぁ、ここの場所を教えてあげて。詳細も教えてあげて」
そう言われてメッセージを送る。
真理亜のことを光さんにも話しておかないとダメだよね。
「白井さんだけが来るわけ?」
「さぁ?最近は平和だからそうなるかもしれない。雪が知って一緒に来るかもしれないけど」
なんやかんや雪と一緒にいることが多いと思う。
当日は凄く忙しいと思うから、ふざけている時間はない。
「雪が来るなら俺から伝えるよ」
「そうね。唯一の友達だもの。伝えてあげて」
「なんか、失礼なこと言ってない?それは、ワザと言ってるよね?」
「本当のことでしょう?」
大切にしてあげて。
「これで、お客様を待たせないで提供できそうだよ。あぁ、壱夜君から聞いているかもしれないけど、休憩時間にチーズケーキを出すよ。甘いものを食べて挑んでほしいからね」
「ありがとうございます、友達も喜びます」
嬉しくない人はいないと思う。
あとは服装や準備物を聞けば良いかな?
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