第550話
審査は完成した順から行う。
完成したプリンをトレーに載せて審査員のところに運ぶ。
「こちらは椎名凛さんのプリンになります。審査員の方々はお手元にある審査用紙に評価をご記入ください。ご記入しましたら手を挙げてください。係の者が回収いたします」
司会に人が手順を説明したあとは、審査員が各々プリンの審査を始めた。
私はそれを近くに立って見ている。
この状況ってドキドキするものだけど、審査員の顔を見る余裕はあるらしい。
どの人も何を考えているのか分からない。
っていうか、美味しいのか美味しくないのか………………
そんな考えが表情に出ない。
審査員だからそんな顔を出しちゃ駄目なのかもしれないけど。
「審査員の方々、点数は1から10点ですが、その評価の理由もご記入お願いします。出来る限り詳細にご記入ください。その審査用紙は全て回収いたしますが、その後は作ったご本人にお渡しします。なので、何が良かったのか何が悪かったのかなど具体的にご記入ください」
へ〜ぇ、それは聞いてなかった。
審査用紙ってもらえるんだ?
それはありがたい。
悪いところが分かるってことでしょう?
これは、依頼を受けて良かったな。
1人だけじゃなくて複数の人たちから聞ける。
それぞれ、考えが違うと思うし。
暫く待つと1人また1人と手を挙げて審査用紙を回収する。
全て回収が終わると私は控室に戻された。
2人の審査が終わるまで控室で待たされるらしい。
控室には光さんと真理亜がいた。
「凛ちゃん、お疲れ〜。これ食べる?美味しいよ!」
「この料理はどうしたの?」
「料理ここまで運んでくれたの」
「テーブルごと?」
「うん」
控室の端にあるのって、会場にあった長テーブルだよね?
というか、その上にある料理は会場にあった料理だよね?
えっ?そのままここに運んだの?
プチビュッフェ状態だな。
「親切な人がいるんだね」
「凛、親切な人で全てを片付けるな。この娘ちゃんの食べっぷりを見て、近くにいた紳士が給仕に声を掛けたんだ。それが、海と奏多に連絡が入って、控室まで運ばれたってことだ。簡単に言えば食べ過ぎて、他の人たちの分が無くなるからどうにかしろって言われたってことだな。アホほど食べてたからなぁ。1テーブルの料理が亡くなっていたら驚くよな。招待客の殆どは食事より会話だ。だが、全く食べないというわけじゃない。酒を飲むなら少しでも腹に何か入れないと」
なるほど。
海も奏多も真理亜の胃袋をナメていたのだろう。
「真理亜、あなた凄い。たくさん食べたのね」
「うん。ローストビーフが凄く美味しいよ。あとね、葉っぱに包まれたちまきも美味しい」
葉っぱに巻かれたちまきを手に持って言う。
「具は鶏肉?」
「うん。定番だよね。久々に食べたよ。凛ちゃんも食べようよ!いっぱい料理運んでもらったんだ」
そうね。
本当に大量に………………
出禁にされてないよね?
彼らは、ここの料理を運べは真理亜が会場に行かないだろうって考えてないよね?
「光さん、真理亜の会場入りは?」
「あ〜、料理は全てここで食べてくれってことで。会場の出入りは大丈夫だ」
それなら安心?
「あ〜、ローストビーフなくなっちゃう」
そう言うと真理亜は近くにあるボタンを連打した。
暫くするとドアが開いて奏多が入って来た。
「は〜い、どうかしました?」
「ローストビーフがない!あとね、白米が食べたいなぁ。あっ、ピザとパスタもないよ。あとね!さっき会場でカニを見たの、それも持ってきて。カレーもあったと思う。それも」
「………………まだ食うの?えっ?マジで?本気?」
「美味しいものたくさん食べる。全種類制覇です。デザートもあったから食べないと。まだ1ラウンドだからね。2ラウンドがあるから軽めに準備運動」
「この子、本当にアホほど食べるのか。特別待遇って分かってる?招待客より特別待遇だよ」
「特別待遇を利用しなければ。だって特別待遇だからね!」
真理亜は、えへんッ!と偉そうな態度を奏多にする。
そんな真理亜を見て奏多は呆れ気味だった。
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