第547話
柚月が様子見をした日から3日後。
家に小さい段ボールが届いた。
なんだこれ?と思い中身を確認すると、メモ用紙と共に小さい箱が入っていた。
「なぁに?ボンボン君は凛に何を送ってきたの?」
「ボンボン君?柚月がボンボン?いや、当たっているような当たってないような………………それはどうでもいいか。なんか、小さい箱が入っていたよ」
小さい箱を手に取り軽く振る。
何だこれ?
軽いな。
「さすが凛ね!雑に扱ってるところが凄くいい!」
雑に扱っているわけじゃないけど、何となく振ってしまった。
柚月が送ってくれたものっていうのが怖い。
「何やってるの?2人で突っ立って」
「誠也!これ、ボンボン君から送られてきたの」
「ボンボン君?えっ?誰?」
「柚月」
「………………普通に柚月って言ってよ。何が送られてきたの?」
私は小さい箱をお父さんに渡す。
そして、お父さんはその箱を振った。
………………。
親子揃って振るのね。
「軽いね」
パカッと開けて恐る恐る中身を確認。
「髪飾り?」
お父さんは和風の髪飾りを手に持つ。
「あら、これ和服に合いそうな髪飾りじゃん。でも、なんで髪飾りなんか送ってきたの?変わってる」
「麻矢、これは今回用だと思うよ。凛は着物で参加するでしょ?それに合わせられるようにってことだと思う。でも、どんな着物にするのか言ってないのに送ってきたんだねぇ?え〜、なんか怖いよね」
私の手のひらに髪飾りが置かれた。
花の形をした髪飾りはシンプルなデザインだが上品さを感じられる。
「麻矢、これどうする?合うの?」
「そうだなぁ。似合わないって言いたいところだけど、ピッタリなんだよね。センスはある………………私が用意した髪飾りと組み合わせができるように考えられてる」
「うわぁ、そこまでピッタリなんだね。柚月が絶対につけてっていう感じが凄く伝わってくる。凛はどうする?つける?」
まぁ、うん。
ピッタリならつけてもいいかな。
「つける」
主張がそんなにしないのは他の髪飾りのことを考えてのことだったか。
だから、こじんまりしているのね。
「凛、メモ用紙あるけど読んだ?」
お父さんは私の目の前でフリフリと紙を振る。
「読んでない」
「是非、髪飾りをつけてご参加ください、だって。短い文面だな」
余計なことは一切書いてないのね。
「シンプルすぎて逆に怖いよね。もっと伝えたいことあるんじゃないの?って思っちゃうよね?あ〜、これもアイツの作戦なのかなぁ。ホント、嫌なヤツだなぁ。この紙はどうする?捨てる?」
紙だから捨てもいいかな?
特に残したいものでもないし。
「捨てよし」
「そっか。手書きで書かれてないし、特別なものじゃないからね」
お父さんはそう言ってゴミ箱に捨てた。
髪飾りは箱に戻してお母さんに渡す。
「ボンボン君は、どこから聞いたのかな?デザイン画が盗まれないように厳重にしておいたはずなのに。ホント、どこから………………あれ?ちょっとイライラしてきたかも。いや、腹が立ってきた。悪いことしたよね?ちょっと!誠也、奴に電話!!」
「電話しても出ないと思うよ。こういう時は勘づいて出ないから」
「余計に腹立つ」
いつものことだ。
私の足元にスリスリとケイが寄ってきた。
どうやら遊んで欲しいらしい。
おもちゃを取り出してケイの目の前で振ると、目をキョロキョロと動かし足をバシッと伸ばす。
その前足が微妙に届いてない。
それが凄く可愛くてスマホで動画を撮影をする。
「フフッ………」
思わず笑ってしまう。
それはワザとなのだろうか?
グイーンと伸びた前足に何度も羽根を当てているのに空振りだ。
絶対にワザとだな。
これは私が遊ばれているのか?
まぁ、それでもいい。
「にゃーん」
ひと鳴きしたケイはグイーンと背伸びをして、トコトコにソファーの上に座り丸くなった。
どうやら遊びは終わりのようだ。
もう少し遊びたかった。
今度、新しいおもちゃでも買おうかな。
今あるおもちゃでたくさん遊んだから飽きているかもしれない。
あと、おやつも買おうかな。
「緊張感ないね。あと少しで本番なのに」
そんなことをお父さんが言ったが、確かに緊張感があまり感じられない。
まぁ、今更だな………………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます