第190話
俺の方が変な妄想してごめん、だな?
「そっか、あいつ、すばしっこそうだもんな?」
俺は後頭部をガシガシと掻きながら苦笑いを浮かべた。
フッ・・・何だ俺。
ホント馬鹿みてぇだな?
どうやら珊瑚が絡むと、思考力が低下するみてぇだな。
「うん、ホントすばしっこいんだよね。」
ウフフと笑った珊瑚の手を、今度は俺が握った。
「行くか?」
「えっ?」
頬を赤らめて戸惑う珊瑚。
「お前はこけるかもしれねぇからな?手繋いでねぇと危なっかしい。」
もっともらしい言い訳を付けて俺は歩き出した。
繋いだ手の温もりが心に沁みる。
人と手を繋ぐ事がこんなにも暖かいものだったのを思い出せた気がする。
幼い頃に母親と手を繋いだ日の事をなんとなく思い出しながら、俺は珊瑚の小さな手を握り続けた。
繁華街を珊瑚の手を引いて歩く。
俺を知ってる奴らが、怯えたような瞳を向けてくる。
そして俺と手を繋ぐ珊瑚を見て、驚きの表情に変わる。
そして珊瑚にイヤらしい目を向ける。
うぜぇ、見てんじゃねぇ。
辺りに睨みを利かせながらも、珊瑚とウィンドウショッピングを楽しんだ。
珊瑚が鈍感で良かったとこの時ばかりは思った。
自分に向けられる好奇の瞳や嫉妬の瞳に、珊瑚は気づきもしなかったんだからな?
ホント大した女だよ。
楽しそうにウィンドウを覗く珊瑚は本当に可愛らしかった。
一個上なんて、マジで思えねぇな?
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