第176話
特攻服をはためかせてバイクを飛ばした。
翡翠の実家である道場は以前教えてもらっていたので、迷わずに着く事が出来た。
重量感のある大きな門の前に停める。
「しっかし、門構えだけみてりゃ神埼組といい勝負だな?」
道場の看板がかかって居なけりゃ、ヤクザの屋敷に間違われそうな佇まいだった。
バイクを降りると、申し訳なさげに備え付けられていたインターフォンを押す。
屋敷には似つかわしくない機械音が鳴った後に応答があった。
『はい。』
透き通った様な女性の声。
「翡翠、いますか?」
ガラもなく緊張した。
『翡翠さんですね、お待ちください。』
そう言うと通話が切れる。
少し待ってると、重々しい門が軋みながら開き始めた。
観音開きに開かれていく門。
そこから現れたのは胴着姿の人相の悪い男。
「どうぞ、玄関までお入りください。」
似つかわしくない丁寧な言葉で案内された。
「あ・・・はい。」
俺は呆気にとられながらも、バイクを押しながら門の中へと踏み入った。
大柄の男は俺を先導するように建物へと進んでいく。
もちろん俺達の間に会話はない。
気まずい雰囲気。
特攻服を来たヤンキーと、胴着を来た厳つい武道家。
どこからどう見ても、おかしな光景だろう。
そんな事を考えてるうちに、建物の玄関前に着いた。
「こちらでお待ちください。すぐに参られるそうです。」
そう言って丁寧に頭を下げたその人に、
「ありがとうございました。」
と、俺も丁寧に頭を下げた。
やっぱり礼儀は欠いたらダメだよな?
うちの総長ん家だしな?
男が去ってからすぐに玄関のドアが開いた。
「おう!ご苦労。」
屈託なく笑うイケメン。
金髪のライオンと異名を持つ相良翡翠その人だった。
「お前の家、すげぇな。」
開口一番に口をついて出たのはそんな言葉。
「はっ?そうか?」
何言ってんだ?みたいな白い目を向けてくんじゃねぇ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます