第167話
ハンドルを握りながらも、俺は過去へと誘われていく。
そう、餓鬼だったあの頃へ。
馬鹿で、餓鬼で、どうしようもない奴だった。
黒髪に赤メッシュ。
喧嘩っ早くて、女に手が早い。
花龍(カリュウ)幹部の中で一番手の付けられない奴だと言われてた。
とことんまで相手を叩きのめす所からついたあだ名は死神。
あの頃の俺はそれをステータスだと勘違いしていた。
花龍の名前と俺の容姿に群がってくる馬鹿な女を周りにはべられていい気になってた。
唯一の家族だった母親が亡くなって、この土地に来た時から、俺は可笑しくなってたのかもしれねぇ。
母親を捨てたはずの男に金を援助してもらい、その息子をぶちのめしてた。
今考えれば、ホント無茶苦茶で馬鹿な行いだったと思う。
それに、母親だって捨てられたんじゃ無かった。
神埼組の前組長に別れさせられたのは事実だったが、親父となる男は俺の母親が身ごもってる事を知らなかったし、居なくなった母親を探してくれた事も後になって分かった。
俺がしてきた事は、ただの逆恨みだったんだ。
それでも、真実を知らなかった俺は荒れ、非道な事ばっかりを繰り返した。
今思えば、若いからと言って許される事ばかりじゃなかった。
後悔してもし切れねぇことばっかりだ。
馬鹿で弱虫だった俺。
あの頃の俺に会えるなら、ぶん殴ってやりてぇよ。
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