第143話

要の悲壮な声に、俺の手から携帯電話がするりと抜けおちた。








「どうしたの?要君?」




下で喘いでいた女の声も耳に入らない。









「・・・ ・・・。」





携帯から漏れ出た要の声に、はっと我に返ると、女の上から飛びのいて、ベッドの下に乱雑に脱ぎ捨てた衣服を身に着けた。








「ねぇ・・・どうしたのよ?」




途中で行為を中止されて不服そうな女の声。







「ごめんね?緊急事態。また今度埋め合わせるね。」



眉を下げてそう言うと、携帯を拾い上げて部屋を後にした。










ラブホテル街を抜けて大通りに出ると、慌ててタクシーを拾って、母親の運ばれた病院を目指した。









どうか、無事でいてと願いながら。

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