第111話
正門に近付くにつれて騒がしくなりはじめる。
ワー!だか、キャーだか騒いでる。
大きな人垣が出来ていて、特に男が多い事に気付く。
まったく正門前でなにやってんだよ?
邪魔で通れないだろ?
冷たい視線を人垣に送りながらその横を擦り抜ける様とした。
早く行かないと約束の時間に間に合わないからね?
そんな俺の耳に届いて来た可愛らしい声。
「あのぉ、人を待ってるので。」
はっ?どうして君がここに?
「ちょっとどいてくれる?」
俺は殺気を放ちながら人垣を掻き分けて、中心を目指す。
すぐに声の主までの道が、俺の前に開ける。
そこに見えるのは、うちの大学内で女ったらしだと有名な男が、俺の良く知る女の子の腕を掴もうと手を伸ばした姿だった。
「琥珀ちゃん。」
慌てて彼女の名前を呼びながら駆け寄った。
もちろん男を睨みつけながら。
「あっ!総司君。」
俺の姿を見てきた途端に、笑顔に変わる琥珀ちゃん。
その笑顔を見て、周りに居た男達が息を飲むのが分かった。
「どうしてここに?駅前の喫茶店で待ち合わせだったよね?」
そう、今日は琥珀ちゃんに頼み事があって駅前で待ち合わせたんだ。
「ごめんなさい。早く来すぎてね?ついでだから、大学の見学しちゃお~かな~って。」
バツが悪そうにエヘッと笑う琥珀ちゃん。
そう、彼女はうちの大学を今年受験した。
今は、先日のセンター試験の結果待ち中。
「そっか。だったら、連絡くれれば良かったのに。」
琥珀ちゃんの頭を撫でた。
「ごめんなさい。ちょっと見るだけのつもりだったんだけど。こんなに人が集まって来ちゃって。」
申し訳なさそうに眉を下げた。
「そんな顔しないで?責めてる訳じゃないよ。心配なんだよ。」
そう・・・心配しただけ。
六織の大切な子を危険な目には合わせたくないんだよ。
あいつがアメリカに行って、もう2年が過ぎたけど、君は今もあいつの姫だと俺は思ってるからね。
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