第79話

私はこんなに暖かくて優しい手があるなんて、今まで知らなかった。





「・・・うぅ・・・っ・・・クズッ・・・。」




「泣きたいだけ泣けばいいよ?」




「・・・うぅ・・・。」




「俺で良ければ相談に乗るし。」




どうして、彼は見ず知らずの私にこんなにも優しくしてくれるのだろうか?







付き合ってた彼氏なんて、自分可愛さに私を差し出したというのに・・・。








彼になら、話してもいいような気がした。







「あのね・・・。」



「うん。」



「彼氏と居たら、追いかけてきた3人に因縁をつけられて・・・。」



「うん。」



赤髪は急かす訳でもなく、背中を摩りながら相槌を打ってくれた。






「そしたら、彼が自分可愛さに私を差し出そうとして・・・。しかも、その隙に逃げようとした。」



「はっ?なんだそいつ!」



赤髪から、出た殺気にビクッと体を揺らしてしまった。





「あ・・・驚かせてごめん。ちょっと男にムカついただけ。話を続けて?」



ヘラッと笑った赤髪の瞳は笑ってなかった。






「でね・・・『ふざけんな!このヘタレが!あんたなんて、こっちから願い下げだっての。あんたんちお金持ちなんだかなら、この人達にしっかり慰謝料払えば?私はあんたの犠牲なるなんて、真っ平御免よ。』って言ってやった。」



「アハハ・・・君最高。」



ゲラゲラと笑いだす赤髪。




「で、彼氏が三人に囲まれてるうちに走って逃げたの。もう限界だって時に、貴方にぶつかったって訳。ホント、助かった、ありがとう。」




私は再び頭も深く下げた。






「良かった、何かされる前に助けれる事が出来て。」


そう言ってくれたから、胸が熱くなった。






ホントに、こんな良い人が世の中にはいるんだね。







「貴方みたいな良い人にぶつかって良かった。」


と笑えば、



「泣いてるより、笑ってる方が断然可愛い。」


なんて歯の浮く様な台詞を言われた。






や・・・ちょっと待って。





耳まで赤くなってしまう始末。






うわ~もう、なんなの!







「そうそう、自己紹介が遅れたけど、俺は野村猛。よろしくね。」



手を差し出された。





の・・・ノムラタケシ?





ん・・・?どっかで聞いた事ある名前だぞ?

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