第73話

「ねぇ、あれいいの?あいつんちお金持ちだよ。」



晃を指差した。






「あっ!てめぇ、何逃げてんだ。」



「おい!待て。」



「女見捨ててくとか、クズだな?」



目の前に居た男がニヤリと笑う。





残りの2人は晃を捕まえに走った。








「う・・・うわっ!ゆ・・・許して。」




転がる様に逃げながら、上擦った声を出した晃。






「うるせぇ!」


「逃げてんな!」






いいきみ、2人の男に取り押さえられた晃を見てそう思った。







私を置いて逃げる様な男なんてもう要らない。







ホントに、自分の男運の悪さが笑える。









「その女あげるから、ゆ・・許してください。」




晃が震えながら吐き出した言葉に、頭の中で何かが切れた。





「ふざけんな!このヘタレが!あんたなんて、こっちから願い下げだっての。あんたんちお金持ちなんだかなら、この人達にしっかり慰謝料払えば?私はあんたの犠牲なるなんて、真っ平御免よ。」



両手を腰に当てて地面にへたり込む晃を見下ろすと、冷たい視線を向けてそう言いきった。







「・・・なっ・・・なっ・・・な。」



晃は突然私が切れた事に驚き過ぎて、焦って声が出ないようだ。






その態度分からなくないけど、滑稽過ぎて笑える。







晃の前では、今まで猫かぶりしてたものね?




豹変した私に驚くのも無理ないけどさ。






もう、あんたなんて要らないもん。






本性だって出して上げるわよ。








「何?驚き過ぎて口も聞けないの?フンッ・・・女置いて逃げる様なヘタレだもんね?自分のやった事は自分で責任取りなさいよね。私に押し付けてんじゃないわよ。悪いけど、別れてよね?あんたなんて、もう要らないわ。」



キッと睨みつけた私には、晃は視線をさ迷わせる。




マジ、ヘタレ過ぎ。






自分の男を見る目の無さに、悲しくなって来たわ。








「女にも見捨てられたな?」



私の前に居た男が晃の前に立つ。






3人が晃を囲う様に立った事で、私に逃げるチャンスが生まれる。





様子を伺いながら、ゆっくりと後ろに後ずさる。





とにかく逃げて、隠れて、琥珀に連絡。




頭の中でシミュレーションする。

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