第25話
「マジで、こんな所で何してたんだよ?」
泰雅がそう聞けば、
「うん、何となくふらふらっと来ちゃった。」
と笑った。
琥珀らしいと思った。
「ふらふらとか、危ねぇ奴だな?」
ククク・・と笑えば、
「泰雅こそ、何しに来たのよ?」
と、質問返しされた。
「あ~、俺も何となく?」
照れ臭そうにそっぽを向いた。
「フフフ・・・泰雅だって一緒じゃん。昔とはさ、すっかり変わっちゃたけど、考え事してるとここに来ちゃうんだよね?」
ここって不思議な場所だよ、なんて言いながら笑った。
「・・・ああ、そうだな?」
「・・・泰雅も悩み事?私はね、進路調査ださなくちゃいけなくってさ。悩み中。」
クスッと可愛く笑った。
進路って、リアルタイムだな?
「お前もか?」
思わず口から出た。
「・・・えっ?泰雅も?」
琥珀はキョトンとした顔になる。
「あ~まぁな?」
罰が悪そうに後頭部をかいた。
「あっ、そっか、来年卒業じゃん泰雅。」
「指を指すんじゃねぇ。」
「あっごめん、つい。」
テヘッと舌を出す琥珀。
クソッ・・・やっぱ、こいつ可愛いな。
とは思っても、一切顔には出さない泰雅。
「お前はまだ一年じゃねぇのかよ?進路って早すぎねぇか?」
ふてぶてしい声でそう聞いた。
「あ~うちってさ、進学校だから。今から受験対策だって。」
琥珀は疲れた様な顔を見せる。
「頭良いのも良し悪しだな?」
ガハハ・・・と笑った泰雅に、
「泰雅こそ、今頃進路って遅くない?国立のセンター試験まで三ヶ月ないじゃん。」
琥珀が怪訝そうに眉を寄せた。
「ああ、ヤバい。俺は完全に出遅れてるな?」
そう吐き捨てたら、
「まぁ、努力次第ではなんとかなるよ。」
自棄に自信ありげに笑った琥珀。
こいつに、話してみようかな?
さっき、親父が言った言葉を不意に思い出した。
なんとなく俯いた。
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