第21話

だけど、コイツはそんなことしようものなら、途端に逃げ出そうとするから



こうして捕まえておかないとな



――――葉月ちゃんのことは多少不安ではあるけど


雫の温もりを感じることができるなら大丈夫




「なあ、雫?」


未だ俺の腕の中で逃げ出そうと無駄な抵抗を繰り返している雫の耳元で囁く




「―――俺は…お前が誰よりも大切で好きなんだ」



だから、早く俺のものになってよ


―――その言葉は呑み込んだ



だってすでに熱でも出たんじゃないかっていうくらい真っ赤になってるし


急に動かなくなっておとなしくなってしまったんだから

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