第8話・キミとどこまでも

「……静香?」

「……?」


キミを街中で見かけて声をかけるとキミはキョロキョロして声の主を探してる。


「プハッ…こっちだよ」

「あっ!…り…龍?…」


久しぶりにキミの口から俺の名前が聞けた事そして覚えている事に歓喜しながらもキミの行動が愛おしくて吹き出してしまい手を挙げて俺を見た笑顔のキミの瞳に俺が映る。


「久しぶりだね。元気だったー?」

「あぁ。静香も元気そうで。それにしても会えるなんて思っても見なかったよ」

「私も龍に会えるなんて思いもよらなかったよ。高校以来?」

「あぁ…。今時間ある?少し話さないか?」

「うん!大丈夫よ。今日は仕事休みだからこの辺りで買い物していたの」


高校時代から好意を持っていた女性に街中で偶然・・を装って会えたのは幸運でも何もでもない。

営業先をこの辺りに絞っておいて良かった。


「本当に久しぶりだね。元気そうでなにより」

「あぁ、久しぶりだな。静香も元気そうで良かったよ…って2回目だな。」

「そうだね」


無邪気に笑うキミが俺の目の前にいる事が今だに信じられない。


近くの喫茶店に入り、二人掛けの席に案内されて俺は珈琲を頼みキミは紅茶を頼んだ。


「…指輪してないって事は結婚はまだ?」


茶化しながら聞くキミの無邪気な笑顔に癒されながら俺は笑うのをやめて真剣に答える。


「結婚はまだだよ。静香の方は?」


キミの瞳の中に俺を映すように真っ直ぐキミを見つめるとキミは視線を逸らした。


「…私も……まだだよ…」


歯切れの悪い言葉に「静香」と静かに名前を呼ぶとキミは再び俺をその綺麗な黒い瞳の中に映してくれた。


「同棲していた彼が…部屋に浮気相手を連れ込んでいて…」

「はぁっ!?」

「…それを……目撃…しちゃったの…」


キミの声が震えていて目があっちこっち泳いでいて動揺しているのが分かった。沸々と怒りが沸いてきてキミを今すぐにでも抱きしめたい。



「同棲までしていて…」


涙目で無理矢理笑うキミの涙を拭う位置までいきたい気持ちとキミの口から他の男が出てくる苛立つ感情が交差している。


「浮気した…彼氏を…許せない私は…」

「悪くないよ。静香」


手を伸ばして静香の頬に初めて触れる。

柔らかいキミの素肌。

肌触りが心地良くいつまでも触っていたい。


「龍っ…恥ずかしいよっ」

「ごめん、ごめん。いつまでも触っていたい心地良さだったよ」


俺への警戒心を解いてもらう為に茶化しながら笑って頬から手を離して珈琲を飲み干し、キミの瞳を真っ直ぐに見つめ一つ提案をする。


「俺の家においでよ。一部屋空いてるから」


キミの事情は全て知ってるよ。

彼氏と同棲していた事や、キミのクズ男がキミの他の女と浮気していた事や他諸々。


「えっ?」


キミのビックリした顔は可愛いな。

俺を何回、惚れさせたら気が済むんだろうか。


「彼女が居たら悪いよっ!いくら知り合いだからって…」

「彼女は居ない。部屋は一つ空いてる」

「龍にここで会えて嬉しかったけども、そこまでご迷惑かけるつもりはないよ」


キミはどう言ったら俺の罠に落ちてくれるだろうか。


「これ、俺の連絡先だから連絡して。静香をこのままほっておけないから」


俺の連絡先を書いた名刺を静香に渡して俺は伝票を持って立ち上がった。


「龍…」

「この時期に部屋なんて早々見つからないから」

「それでも探してダメだったら連絡する」

「…分かった」


キミは少し頑固な所があるけどそこも可愛いから許しちゃう俺も俺なんだけども、一緒に住む為にどんな手も惜しまないつもりで行くから

よろしくね…静香。



「2日経っても連絡こないって事は難儀してるな」


連絡先を渡してから2日経ったが連絡こないから会社帰りにキミの会社はもうとっくに調べてあるから迎えに行ってそのまま俺の家に住まわせようと考えて仕事に精を出す。


「堺、この書類出来てるか?」

「はい。出来ています。これで上がります」


課長に言われて書類を渡し俺は会社を後にし、キミの会社に向かった。



「静香」

「龍!?なんでココに居るの?」


会社から出てきたキミに声をかけたらこれまた可愛いビックリ顔をしていて笑いながらキミの言葉に返す。


「たまたま静香がここから出て来たのを見かけたんだよ。だからここで働いているのかなって思ったんだよ」

「…あの時より龍は私の事知っていたの?」

「街中で静香を見かけたのは偶然・・だよ」


キミを安心させる為ならどんな言葉だって使うよ。


「静香…連絡してって伝えたよね…俺」

「龍に迷惑かけたくなかったの。だから頑張って探していたんだけども…」


小さくて震えるキミの姿が愛おしくて抱きしめたい衝動にかられるけどここはグッと我慢してキミの頬に触れたくて優しく触れる。


「頑固な所は変わらないな。早く男から逃れたいだろ?俺の家においで」


キミは鞄の取っ手を握りしめて頷いた。

クズ男から頻繁な着歴、limeがある事を俺が知らないと思っているのか?

キミを守る為ならどんな事だってするよ。


「龍!私の荷物だから私が持つ」

「良いんだよ。ここは俺に任せておきな」


キミが途中で意見を変えないように駅のコインロッカーに預けてあった荷物を人質としておこう。


「龍、ここのマンション?」

「そうだよ。静香」


俺は右ポッケから鍵を取り出し静香に渡す。


「静香はこれから俺と住むんだから鍵を渡しておくよ」

「……ありがとう」


エレベーターで自分の家まで行き玄関を開けてキミを向い入れる。

これでキミはもう俺の巣穴で甘やかされて生きていくしかないね。


「お邪魔します…」

「静香。ここは“ただいま”だよ。静香の家でもあるんだから」

「部屋が見つかったらすぐ出てくよ!そんな長い間居候はしない…」


キミの荷物を壁側に避けてからキミの言葉を遮った。


「…龍…っ」


キミを壁に押し付け俺の腕の中にすっぽり入ってしまい想像していたよりも華奢で小さいなキミ。微かに香るキミの匂いが俺を更に興奮させ、頭の中が熱くなる。


「今はそんな事考えずにゆっくりした方が良いよ?静香」

「……っ」


キミの顔が真っ赤になっていき俺の心臓もバクバクしていて改めて自分の腕の中にキミがいる事に興奮してキミの柔肌をまさぐりたい。


「なーんて。ビックリした?ビックリした?」

「………っ」


キミから離れるとキミのほっぺがプクッーと膨らんで怒った顔になり俺を叩く。


「ビックリしたんだからね!龍!」

「あははは。その顔、変わらないな」

「意地悪な龍に言われたくない」


笑いながら廊下を二人で歩いてリビングに向いキミに部屋を案内した。


「静香の部屋だよ。好きに使って」

「龍」

「んっ?どうかした?」

「色々、ありがとう。これからお世話になります」

「ん。疲れただろ?お風呂入れるからゆっくりしてな」

「ありがとう」


キミの部屋の扉を閉めてお風呂に湯を入れに行く。


「キミはもう俺のモノだよ。どんな風に甘やかしてあげようか…」


笑いが止まらない。

ドクドクと血流が勢いよく流れているのが分かり、また頭の中が熱くなる。


「静香。何か飲むなら用意するけど…」


リビングに向かったらソファーで微動だにしない静香の姿が見えてサァーッと血の気が引いて慌ててキミの元に向かったらただ寝息を立てて寝ていただけだった。


「静香?寝るならベットに行かないと」

「うー…ん」


キミの息を止めるのは俺の役目。

キミの最後の最後まで息が止まるまでその瞳の中に映しながら俺を見ながら終わりを迎えるのが俺はたまらなく興奮するけど今はやらないよ。


「静香?風邪引くよ?」


キミの肩に触れたら小さな肩で抱きしめたら壊れそうで怖いけど壊したい気持ちにも駆られる。


「静香、ベット連れてくよ?」

「うー…ん。龍…」

「起きた?」


キミが俺の名前を呼んだから俺はキミを抱っこして寝室に連れていく。

やはり想像していたより小さく軽いキミ。

俺の手の中に堕ちていく姿を間近で見られる日が来るなんて思ってもみなかった。


「りゅ…う…。ありがとう…」

「夢の中でもお礼言ってるの?静香」


ドロドロに甘やかして俺無しでは生きていけれない体に早くしたいけど慌てるな、俺。


「疲れただろ?ゆっくりお休み、静香」


俺のベットに寝かすとキミは「フフッ」と笑って夢の中に入って行ったから俺はキミの頬、ひたいにキスを初めてした。


「静香、愛してるよ」


俺の気持ちが溢れて言葉に出た。

今は知らなくても良いし、俺の気持ちはこれからゆっくりと知っていってもらうから覚悟してるといい。


「……」


寝室から静かに出てもう一つの部屋に入った。


「静香…」


パソコンに向い愛おしく可愛いキミの名を呼びながら起動させフォルダをクリックし“静香ファイル”があり開くと静香情報が出てくる。


「新しい静香情報が更新されたな」


高校時代からの静香情報がファイル1から更新されており今は静香情報12まである。

その当時昼食に何を食べ何を話していたか交友関係、恋人履歴など事細かく記録してありその当時住んでいた所も前に住んでいた所…そして今は俺の家に同棲する形になった事を記録したいたら電話が鳴り取る。


『もしもし』

『あのは処理した』

『そうか。泣かした罰は返してやらないとな』

『じゃあ、こっちのもよろしく頼むよ』


通話が終わり立ち上がりパソコンを終了させ

部屋から出た。

パソコンしかない部屋だが俺の大事な情報がある部屋。


「静香が気になっても別にいいか。家族・・が出来たらパソコンは手の届かない所に置こう…」


そう思いながら、風呂に向かった。

鍵はリビングの引き出しの中にしまい込んだ。



カーテンの隙間から陽が差し込んで来て眩しくて目を開けようとしたらモゾッと動きがありそのまま観察しようと寝たふりをした。


「わっ、私…!!服、着てるよね?あっー…良かった」


安心と慌てふためく姿に吹き出しそうになるが我慢する。


「昨日…ソファーで寝落ちしちゃってそれからの記憶が無いっ……」


うずくまるキミが可愛くて後ろから抱きしめたくなる。


「そうだ!昨日からお世話になってるし記憶が曖昧なんだけども朝食の準備しよう!」


急に思い立ったらしくキミは顔を上げて笑顔になった。その笑顔が可愛くて俺はまた惚れた。


「静香、おはよう」

「あっ!おはよう…ございます」


キミに声をかけたら恥ずかしそうに俺の挨拶に応えるから俺はキミに近寄りキミの腰に手を回す。


「龍!?」

「朝から静香の慌てふためく姿が可愛くって抱きしめたくなった」

「!?いつから見てたの!?」


顔を両手で隠しながら言うキミが可愛いから悪戯したくなってもっとギュッと抱きしめる。


「わっ…私からかな?」

「ほぼ最初からじゃん!」


こんなゆっくりとした愛おしい時間が流れるなんて知らなかったよ。

キミが側にいてくれるからだな。


「…彼女にも朝からこんな事してるの?」

「彼女にも?まさか。静香が初めてだよ」


素直に焼きもちやいてくれてる姿が可愛くって愛おしくって今すぐにでも食べたい、貪りたい。


「彼女になったらもっと朝は離してやれないしもっとグズグズに甘やかす」

「…どんな風に?」


悪戯っ子のように俺に笑うから俺のかろうじての理性がプツンと糸が切れ、俺は黙って起き上がった。


「龍?」


俺の名前を呼ぶその口を今すぐにでも塞いでやりたい気持ちをグッと堪えてキミの腕を引っ張りベットに寝転がしその上から俺は覆い被さる。


「り…!」

「静香、可愛い静香」


唇を奪ってやりたかったがそれは追々恋人同士になってからいくらでも貪れる。

今は、キミの体を時間ギリギリまで貪りたい。


「可愛い手。綺麗な爪。キスしたくなる首。どこもかしこも俺を興奮させる…」


爪に手に首に優しくキスを落としていく度にキミの体がピクッと反応するのを感じて堪らなくなる。


「龍っ…!やめっ」

「やめないよ。静香が言ったんだ。可愛い静香。ここ触ったらどんな反応してくれるの?」

「龍っ…やめっ…んっ」


服の上からキミの胸の輪郭を優しくなぞると可愛らしい声をあげてくれて優しく痛くしないように揉みあげる。

キミの反応を見ながら警戒されないように慎重に進めて想像していたよりも遥かに心地良い。


「龍…会社遅れちゃう…」

「まだ平気だよ。他の事を気にする余裕がありそうだね」

「えっ?!あっ」


服の上から胸にかぶりついた。

プクッと立ったのを舌でコロコロ舐め回すと服が染みてきて露わになる。

キミは寝る時にブラをつけない派か。

情報が更新されていくよ。


「やっ…んっ」


もう片方の手でもう一つの胸を優しく揉みほぐすとキミの体が少しづつだけど動き始める。


「静香、可愛いよ」

「龍っ…待って…」


キミが俺を引き離そうとするから胸から口を離してキミの首に再びキスをする。


「あっ…」

「これが俺の彼女への朝の挨拶だよ」


キミの耳元で囁いてキミから退きベットから起き上がりキミを見ると真っ赤になったキミが居て近寄り額にキスを落とす。


「静香はまだ寝てていいよ。朝食は俺が準備するから」

「バカッ!スケベ!」


キミは起き上がって枕を持ち上げてその枕が俺の顔に当たった。


「静香が教えてって言ったから教えたんだよ?」

「私は……彼女じゃない!居候よ」


枕が床に落ちて拾う時に思った。

今は、居候の身でも必ず俺のモノになる。

そうなる運命なんだよ。


「で、朝食は一緒に作る?」


枕を再びベットに戻す時にキミに聞いたらキミは怒っていたけど俺の言葉にすぐに素直に返してくれるから離せなくなってしまう。


「聞いてるの?!龍」

「聞いてるよ。で、どうするの?」

「作ります!」


可哀想な、静香。

俺に捕えられて逃げ出せなくなったね。

でも、安心して。

俺が一生可愛がってあげるから。

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