獣耳聖人(仮)×お世話係令嬢

@B4RS

第1話・誕生した…?

この国は獣耳族と人族が共存して支え合って生きておりさらにこの国をずっと護ってくださっていた聖女様が残念ながらご臨終でこの世を去り、新たに聖女様か聖人様を写し出す儀式に王宮が早急に動き出した。


「お嬢様、お茶のお代わりはいかがですか?」

「ありがとう。もらうわ、ラッカ」


私、ロゼリア=ウダン(19)は社交界デビューをしたばかりの若輩者で、種族は人間。茶色の髪の毛を腰まで伸ばしてるがポニーテールにして縛ってる。

そんな私に声をかけたのは私専属の侍女のラッカで彼女は獣耳で種族はウサギ。黒髪のショートカットに白くて長い耳に丸い尻尾が生えていて可愛い。


「今度は聖人様か聖女様…どっちかしらね?」

「そうですね。この国を護ってくださるなら私はどちらでも」


お気に入りの庭のガボゼでゆったりと本を読むのが私の日課で、休日はだいたいここにいる。


「お嬢様は聖女様か聖人様を見たいとは思わないのですか?」

「そうね…見たい気持ちはあるけど人混みは苦手だわ」


この国の聖女様・聖人様は召喚術ではなく王宮にて厳重に管理されてる水晶で写し出された人物が聖女様・聖人様になると幼い頃から教わられてる。


「この国の誰かが聖人様か聖女様になれるなんて凄いよね!」

「そうですね。お嬢様が聖女になったらどうしますか?」

「私っー?!…あり得ないと思うけど…」


考えて自分の意見をラッカに伝える。


「治癒の術を使って皆の傷を治したいなー…」

「お嬢様らしいご回答ですわ」


でも、きっとそれだけじゃ済まされない。

何処に行っても注目され会合にも顔を出して国中の病院にも顔を出して…考えるだけで大変だな…。


「お嬢様、考えてる事がお顔に出てますよ?」

「顔に出しちゃいけないのは分かってるけど家だから見逃して?」


ラッカに手を合わせて頼むと軽いため息を吐き出して「仕方ないですね」って顔をされた。


「…聖女様か聖人様が映し出されたら王宮からすぐに花火があがるでしょ。それまで楽しみね!」


水晶に映し出されたらすぐに花火が鳴るからそれを待つのも楽しみねとそう思いながら視線を本に視線を移したけどふと疑問に思って本からラッカに視線を移して聞いてみた。


「ねぇ、ラッカ」

「はい、お嬢様」

「亡くなった聖女様のご葬儀はいつするのかしらね?」

「そうですね。いつ行われるのでしょうね」


亡くなった聖女様のご葬儀はきっと近いうちにすると思うから黒服を出しておかないといけないなって思い本に視線を再び移そうとしたら名前を呼ばれた。


「ロゼリアー」

「あらっ、キロナ」


日傘を差して黒服のドレスを着て長い黒髪をカールして優雅に歩いてくる女性は、キロナ=イーストウィル(19)で、種族は人間で私の親友。


「お邪魔して大丈夫かしら?」

「キロナなら大歓迎よ!どうしたの?」


読んでいた本にしおりを挟んで閉じてテーブルに積んである本の上に置いたと同時にキロナは、私の正面に座ったけどキロナの表情が暗い理由はただ一つ。


「…聖女様が亡くなってしまったわね…」

「そうね…亡くなってしまったね」


ラッカがキロナに紅茶を注いで差し出しキロナは、スプーンで砂糖を入れてクルクル回しながら話しを続ける。


「聖女様はよく動いていつも笑顔で…会うと名前を覚えてくれていて…亡くなった事にまだ心が追いつかないの。どーしたらいいと思う?」

「そうね…無理に忘れる事はないと思うわ」


キロナの心になって考えて出た言葉だった。


「…ロゼリア、聖女様のご葬儀はいつ行われるのかしら?」

「その話はラッカとも話していたんだけどいつかしらね…」


ご葬儀をするなら花を供えたい。

ずっと国を護って下さった聖女様に精一杯の返しをしたい。


「聖女様は笑顔が素敵な人だったから笑顔でいなきゃダメよね」

「無理に笑顔を作る必要は無いと思うよ…」


キロナの無理な笑顔は見たくない。


「…次の聖女様・聖人様を決めるの早いと思わない?」

「早くこの国を護ってもらいたいからじゃないかしら?」


この国が豊かになる為には聖女様か聖人様が欠かせなくてこの国の人達が誰もが聖女様か聖人様になれる素質を持ってるとも教わった。


「誰もが素質を持ってるって言われてきたけど聖女様か聖人様になるなんて…幼い頃から術が優れてるんだと思うんだけど?」


キロナは、まだクルクル紅茶を回してる。


「そうね。聖人様か聖女様になった人物には癒しの術、治癒の術、先見の術…この三つが授かるのよね」

「凄いよねー!!」


クルクルを止めて目をキラキラさせてるからキロナに聞いてみた。


「キロナは、もし選べるならどの術がいい?」

「もちろん、先見の術ね!ロゼリアは?」

「治癒の術」

「「ピッタリだねー」」


ハモって二人で笑って今日、初めてキロナの笑顔を見た気がした。


「ありのままの笑顔が一番素敵よ、キロナ」

「ありがとう、ロゼリア」


キロナが私にお礼を言った瞬間に花火の音が鳴り響きビックリした。


「「花火ー!?」」


キロナと同時に立ち上がり顔を見合わせた。


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