第18話

「俺の五十鈴ちゃんに触るなんて、君―――…内臓全部、抜かれたいんだ?」



息をすることに精一杯になっているとしても、その声だけで誰か分かってしまうことに苦笑してしまう。でもそれと同時に安堵する気持ちにもなり、力が抜ける。




「い…っ!やめ、……っ、離せ!!」



「許せない、俺の五十鈴ちゃんを犯そうとするなんて、許せない許せない。死に値するよ。それに加えて、首絞めるなんて何?君、何様?」



「ひ…っ!!」



「ああ、自分も同じ目に遭わないと分からないのかな?安心してよ。俺、五十鈴ちゃんのためなら、犯罪のすれすれなことだって犯せちゃうから」



初めて、この男を敵に回さない方がいいと認識した。



私に背を向けているため、どんな顔をしているのかは分からないけど、相当怒っているようだ。さっきまで優位に立っていた変態野郎が恐怖で歪んでいるから。




「それと変な気を起こさない方がいいよ?君のことは今からだって調べられるし、俺……君のこと、逮捕できちゃうみんなの正義の味方、警察官だからね?」



「……っ!!」



その言葉を聞いた途端に男は彼の腕を振り払い、一目散にこの場を去って行った。

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