第10話
陣内さんに引き続き引っ張られながらも俺は五十鈴ちゃんがいるであろう方向を見つめていると、『おい』と声を掛けられた。5人の柄の悪い不良たち。
周りの奴らは誰だと特定することはできないが、声を掛けてきた野郎だけは名前を知っている。
―――…高円寺卍(こうえんじばん)。
誰だって?そう、こいつは俺の愛しい愛しい将来お嫁さんになるであろう五十鈴ちゃんの幼馴染。可愛い可愛い天使である五十鈴ちゃんの小さい頃を知っているクソ野郎なのだ。
「てめえだな。最近五十鈴につけ回ってる荒田っつーサツは」
ち、五十鈴ちゃんにこと呼び捨てにしているなんて、何て憎い奴なんだ。俺ですら呼んだことないのに。ぎりっと歯軋りする。陣内さんに『やめろ、みっともない』と突っ込まれたことは置いておいて。
目の前にいる高円寺卍。巷でもかなりの有名な不良らしくあちこちで噂になっては奴に喧嘩を売った、でも奴には敵わないなど小耳には挟む。上司にもこの男は厄介だから気をつけろと口酸っぱく言われてきた。
にも関わらず、目をつけられている。……まあ、それは俺にとって一番気にくわない理由なのだが。
「それが何か?」
「二度と五十鈴に近づくな」
「はあ?それ、君に言われる筋合いないんだけど?」
「んーなことくらい分かってる。だけどな…………あいつを傷つける前に忠告してやってんだよ」
傷つける前に忠告?意味が分からなくて、首を傾げる。隣にいる陣内さんもそれについては理解はできていなかった。というか、何で俺が傷つける前提で話を進めるわけ?腹立つんだけど。
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