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「あ、こっちこっち」


レストランに入ると、奥の席から女性が手招きをしていた。


「ったく、急に呼びだすなよな。お袋」


來斗はそう言いながら、奥の席に歩いて行った。


やっぱり。


ここは、來斗のお母さんが経営している会社。


東郷財閥だ。


「初めまして。東郷 桜です」


席につくと、1人の女性が挨拶をしてきた。


スラッとしていて、綺麗な人。


「初めまして。天原 美桜です」


私は軽く頭を下げた。


「ごめんね。急に呼び出したりして」


「いえ、大丈夫です」


私と來斗は、來斗のお母さんと対面になるように座った。


「美桜、メニュー。好きなの頼んでいいから」


「ありがとう」


私はオムライスとサラダのセット、來斗はハンバーグとライスとサラダのセットを頼んだ。


「で、急に呼び出した理由は?」


來斗が聞いた。


「美桜ちゃんに会ってみたかっただけよ?妹さんの方は、パーティーとかで見かけた事あるけど、美桜ちゃんに会ったことはないから」


來斗のお母さんが言った。


「両親は、私を表に出したがらなかったので。いつも、兄と妹ばかりでした。家でも目すら合わせてもらえず、私の存在は、まるで居ないと当然みたいな感じだったので」


「そう…」


來斗のお母さんの次の言葉は、思ってもない言葉だった。


「美桜ちゃん。今までよく頑張ったね」


「え…?」


「今まで寂しい思いや辛い思い、たくさんしてきたでしょ?」


小さい頃から、毎日のようにしてた。


どうして私だけ?と思っていた。


同じ親から産まれて兄妹なのに、なんでって。


「過去は捨てて、新しい人生を歩んだらいいのよ」


「來斗や華恋にも言われました。縁を切ると言われた時、私の居場所は本当に無くなって、誰も私が死んでも悲しまないと思ってました。けど、來斗が他人でも悲しいって言ってくれて、來斗たちが仲間って言ってくれて、必要って言ってくれて、私の居場所を作ってくれて、もう一度生きようって思いました」


「前に進めたのね」


「はい」


「ふふ。美桜ちゃん、笑うとさらに可愛いね」


「えっ!?そんな事ないですよ」


「こんなこと言ったらアレだけど、妹さんより美桜ちゃんのが可愛いよ。妹さんは性格悪そう出し(笑)」


それは、否定できない。


実際、悪いから。


みんな愛想とかで、誤魔化されてるだけ。


やっぱりわかる人には、わかるんだ。


少し3人で話してたら、料理が運ばれてきた。


美味しい。


流石、東郷財閥のビルに入ってるレストラン。


食べながらも話しをし、來斗は年の離れた年長の弟がいるみたい。


お兄ちゃんこで、來斗も少しブラコンみたい。


本人は否定してたけど(笑)


「あら、もうこんな時間。会議があるんだった」


「俺らもそろそろ帰るか」


「うん」


レジで自分の頼んだの払おうとしたら、來斗のお母さんがカードで払っていた。


「來斗のお母さん!私、自分の分払います!」

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