一章

一話 「ど、どうもです」

第6話

私の通う、私立海悠学園は、市内で唯一の中高一貫、全寮制(高等部から)、提示された様々な分野から興味があるものを高校生のできる範囲で3年間学ぶ、いわゆる総合学科の学校。


 生徒が様々なことを学ぶためにと用意された数々の施設を納めた広々とした校内には、寮が2つある。女子寮、そして男子寮。基本2人部屋の綺麗な住まいとなっている。



 だがあともう1つ。校外になり、距離が少しばかり離れてしまっているところに……寮があるのだ。


 その寮はなんでも年々入学希望者が増えたと同時に当然寮生となる人もちろん増えたために新設したものらしい。


 寮と言うわりには学校からは遠く、代わりに駅は近い。4階建てで象牙色とも言うべき壁が新設の寮らしく真新しく綺麗な建物。


 通常の寮にいれば食堂があり食事の心配はしなくていいし、談話室や大浴場、トイレなどの共用スペースとなるところの掃除も専門の人がやってくれている。つまるところ自分の部屋だけ掃除をしてばよかった。


 だが新寮では家事全般全て、そこに住まう寮生と協力してやらなければならない。ただし一人部屋で、自分のスペースをしっかり持てる。


 ……人気はなかったようだが。おかげで現在住んでる人は10人にも満たないらしい。中にはとある事情から特例で中等部の頃からお世話になってる人もいるとかなんとか。なんでも今では“事情を持った人”が暮らす寮とか言われている。なにやらワケありだ。

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