呼び捨て

 高森が去ったあと、もう一度地上の姿を確かめる。

 でも、豆粒ほどの人の姿は隆至を特定するにも難しく。



「バイバイ、隆至…」



 眼下にすっかり隆至を見失った私は、もう一度、独り言のように「ごめんなさい…」と別れを告げた。





 ――――――――――……………



 本性をさらけ出したからなのか、私が隆至と別れたからなのか。

 2人でいる時はすっかり横柄な態度を取るようになった高森。

 こっちが失恋の痛手を負っているのを知っているくせに、次々と挙式の打ち合わせの話を持ってくる。

 忙しい分、隆至の事を考えなくて済んでいたのは助かったけど…。


 今までは2人の時にしか名字で呼ばなかったのも、いつの間にか「沙彩」と馴れ馴れしく名前を呼び捨てにするようになっていて。

 大輔さんや郁人さんは高森の本性を最初から知っていたようで、4人で飲んだ時は高森の猫被りを思い出して笑っていた。



「沙彩ちゃんも大変だよね、こいつの奥さんになるの」


「本当、本当。顔は良いくせに性格は難ありだしな?」



 2人は言うほど心配はしてくれないみたいだ。

 笑いながらこの先どうなるか、ゲーム感覚と言ったところか。

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