「本当、ですか…?」



 褒めてくれる高森の声に安らぎを感じてしまった。

 私は隆至が好きなはずなのに…


 泣きたい…

 泣きたい…



 隆至が帰って来なかった。昨日見た女性と一緒に過ごしているの?なのに私は、別の男と偽装結婚の指輪をはめている。


 隆至、なんで?


 どうして――?



「…っ」



 目からポロポロと涙が溢れてきた。自分は、なんてことを考えてしまったのか…。

 今は私情を持ち込んではいけない場だ。

 お義父様と繋がっているのが誰か分からないのだから、行動は慎重にしないといけないのに。



「あ、ごめんなさい。つい感極まってしまって」


「とてもお幸せですものね? 今ティッシュをお持ち致します」


「いえ、ハンカチがあるので大丈夫です」



 プランナーさんとのやり取りに、妙に冷静に嘘を吐いて受け答えをしているけど。心の中では、矛盾している自分の言動にパニックになっている。

 きっとあの時見た隆至の笑った顔が、私に向けられてはいなかったからだ。

 なんで私が隣にいられなかったのか…。


 私が泣いていると高森は焦るだろう。

 早く涙を拭いて元に戻さないと。

 バッグから取り出したハンカチで涙を拭いた時――



「…っ」



 隣に座る高森が腕を伸ばし、突然私の肩を抱いた。

 高森の体に凭れる形になって、驚きの余り涙が引っ込む。

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