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「今ここで、その首を飛ばしましょうか」
すっ、と、細められた薔崋の目に殺気がうかぶ。
「落ちつけよ。そんなに殺気をあらわにして、仮にも忍らしからぬ行為だと思わないのか?」
揶揄うような、馬鹿にしたような口調にも感情を昂らせることなく、薔華は淡々と言う。
「首を、飛ばされたいですか? 今すぐ退いてください」
「いいぜ」
令六は意外にもあっさりと、頷いた。
薔崋はふっと息をついて、再び車庫の外へと足先を向けた。
しかし、
「ただし、ひとつ条件がある」
そう言って退くそぶりを見せない令六を、薔崋はじろりと睨みあげてやった。
令六はクックッと嘲るようにわらう。
「内容を聞いてからでいい。『是』か『否』か。もちろん、『否』ならここから動かないけどな」
「……」
薔崋は令六をますます睨んだ。
「何ですか」
「明日半日、いや、一刻でいい。あんたの時間を俺にくれ」
顔をぐっと近づけられ、薔崋は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて眉をひそめた。
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