第7話

「ごめんね、ごめんね、裕くん」



「なんで、鈴鹿が謝るんだよ」



仕方なかったことだ。

子供の俺たちにできることはなかった。

だから、仕方なかった。


ただ俺が、勝手に不安に思ってただけ、ずっと鈴鹿に執着してただけだ。



「そんな顔しないでくれよ、俺が勝手に心配してただけだから、安心したんだ。鈴鹿と再会できて安心した」




そう伝えると、俯いて見えなかった鈴鹿の顔が

上を向いた。



「ありがとう、裕くん」



泣きながら、笑ってる鈴鹿。



あぁ、ほんと変わらない。




「すきだ、鈴鹿」




俺は気づいたら声に出していた。


変わらない君の姿を、この目に映して俺は

12年越しに気持ちを伝えた。


ずっと変わることのなかったこの気持ちを。



言い忘れてた、好きを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君の姿[完] 瀬良 咲 @sera_irand

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ