カクヨムにて投稿したり、作品を読んでいる私達のような人間にとって、文字が読めることは当たり前過ぎて、そのありがたみに気付く機会は滅多にありません。
そういう意味で、とても価値のあるエッセイだと思います。
昔の仕事柄、うつ病や読字困難の人と接したことはあるのですが、読書が趣味だった人はいなかったので、日常生活が不便さばかりにフォーカスが当たっていたと思います。
そう考えると、趣味の読書が奪われたという作者は、他の読字困難を抱える人より、遥かにつらかったと思います。
自分に置き換えて考えてみても、その苦しみは想像を絶します。
私は書いたり読んだり、あとは映像作品を見たりするのが生き甲斐の人間ですが、それを出来るのが当たり前と思わず、感謝の心を持って活動を続けていきたいと、改めて思わされました。
作者本人の努力もあり、回復してきているとのことですが、無理せず読書や執筆を楽しめるようになる日が来ることを祈っています。
『うつ病』という名は、よく耳にしているし、大雑把にどんな症状が起きるのかを知っている。
その程度の知識しか無かった自分は、このエッセイを読むまで『なってからの先』を知らなかった。
恐らく、多くの人が自分と同じだと思う。
作者は、元々本を読む事が好きな方であった。それが、病気によって奪われること。そして、それをご自身で取り戻す努力をされている今。
これは、小説を書くこと、読むことが好きな人は、知っていた方がいい。そして、他人事としてでは無く、自分に置き換え読んでみて欲しい。
そのとき、いま自分が活動を出来る事が、どれだけ素晴らしい事なのか。また、頑張り過ぎない事が、どれだけ大事な行動なのか。その気づきを与えてくれる作品です。