46:女戦士は尻が弱い
痛みと衝撃で、あれだけ煮え滾っていた性欲の大部分が引いていく。そのおかげで、なんとかピンク脳から、状況整理へと切り替えられた。
「すまない。急にツタが引いたものだから」
「あ、いや」
こっちこそ、無関係な部分(お尻)を揉みしだいたりして申し訳ない。と思ったら、エレザは恥じ入るようにしながらも、
「なんだか……熱中してしまっていて。普段なら、アレくらいの体勢は難なく制御できるんだが」
なんて言う。
熱中、か。エレザもまた、興奮に頭も体も支配されていたんだろうか。
「明らかにおかしくなっていた……なのにまだ揉んで欲しいと思っている自分も居て……ああ、いや! 忘れてくれ……」
凄いことを言われた。俺の暴走で傷つけてしまったかもという心配もあったのに……杞憂だった。シェレンさんのお尻を揉んだ時と同じく、俺の罪悪感とは裏腹に相手も満更でもないという。これがエロゲ補正か。
『あとはやっぱり、女戦士だし。一等お尻が弱いんだろうね』
(女神さん。帰ってなかったのか)
『キミたちが乳繰り合い始めたから、少し席は外してたけどね』
気遣い感謝。ただもう、昨日ワンオペを遠くから観察されとるし、今更感はあるが。
(しかし、お尻が弱いって……)
二次元じゃないんだから、と思ったけど。二次元だったわ。
『ほら、エレザのお股の所、見てごらん?』
立ち上がったエレザ、そのドロワーズの股部は……湿って色が濃くなっていた。元が白だから凄く分かりやすい。う、うわあ。ヤバい。アレ、俺の尻揉みでってことだよな。一旦落ち着いていた股間が、再び臨戦態勢に移行し始める。
『どうやら、身動き取れない状態でお尻を良いようにされるのが好きみたいだね』
(エッロ……)
シェレンさんもそうだったけど、やっぱり島民たちにも性欲ってあるんだな。その中でもエレザは今回ので明確に「性癖」まで分かってしまったと。
「身支度をする……5分くらいくれ」
エレザがそう言い残し。脱げたスカートを小脇に抱え、お尻を片手で隠しながら木陰へと消えた。
こちらもやることがあるから、ちょうど良かった。
『やることって?』
(ワンオペだよ)
『一応、ここはモンスターも出るんだが……ワンオペ中に遭遇したらどうするの?』
(ぶっかける)
『お、おう……もはやそこまで意思が固いなら、私から言うことはないよ』
(ああ)
『まあ恐らくは、エロイベント中にはモンスターも襲ってこないだろうけどね』
エロゲだしな。そういうイベントが最優先で世界は構築されてるんだろう。知らんけど。
女神さんは天界に戻り、俺はエレザとは逆方向の草むらへと分け入っていく。ワンオペ中に遭遇したら、宝刀(新品)を見られてしまうからな。
サクサクと草を踏んで進む間にも、股間が内股と擦れて、甘い痺れをもたらす。早く放出せねば。
と。草むらは途中から下り坂になっているらしく、足裏に傾斜を感じる。そして坂の下には……
「い、遺跡?」
石造りの外壁が半分以上崩れた……元は神殿か城かと思われる建物。
「あそこはイベントが発生しそうだから、その前に」
斜面に座り込み、ワンオペ。重大発見より、こっちの方が優先されてしまうという……悲しき男のサガだった。
………………
…………
……
合流したエレザに遺跡を発見したことを伝える。恐らくはアティが見たという、ルナストーンの欠片がある場所だ、とも。
「なるほど。あの巨大な豆の草の裏手に、更に下り坂で隠れていたか」
かなり死角だよね。大自然のイタズラか、ゲーム的なギミックか。
「しかし……私はスカートを整える必要があったが、オマエは何をしに草むらへ?」
「あ、いや、えっと。と、トイレだよ」
咄嗟に出たウソだが、エレザは不審には思わなかったらしく、「そうか」と頷いた。
「……行ってみるか」
「ああ」
先程の草むらを突っ切り、下り坂へ。
「今更だが、我々の居住区に生えてる下草と似てるな」
言われてみれば、確かに。また少し植生が変わってるのか。ここら辺だけ、丘の環境に近いのかも。ワンオペに夢中で、周囲の観察なんて出来てなかったよね。
「……アレか」
下り坂に足をかけたエレザが遠望する。発見したらしい。
「何か……イカのような変わったニオイがする。未知の生物が近くに居るのかも知れないぞ」
キミのすぐ後ろに居るんだよなあ。そのニオイを発した未確認生物(男)は。
ていうか、イカは存在するんだな。機会があれば、食べてみたいね。
「どうする? 中まで入ってみるか?」
「そうだなあ。巨大豆が現状、手が出せない感じだしなあ」
功を焦るのは危ないが、成果ゼロの日を作ってる余裕もあんまり無いという。
「軽く様子だけ見てみよう」
これ見よがし過ぎるし、正直言って罠がありそうなんだけど。虎穴に入らずんばだな。それにどうせ、ルナストーンを集める気なら、避けては通れんし。
「分かった。では私が」
前に出ようとするエレザを手で制する。そして俺が代わりに先頭に立った。
「ポーラのために、と決めたのは俺だからな。エレザは俺になんかあった時のフォロー、ダメそうならキミだけでも逃げてくれ」
「アキラ……」
実際は言葉ほど覚悟が固まってるワケでもないんだけどね。それでも、やっぱここでエレザを盾に進むのはダサすぎるし、違うと思う。
「くれぐれも無理はするなよ。まずは様子見だけだからな」
「分かってるよ……無事に戻って、またエレザのお尻も揉ませてもらわないとだしな」
「バ、バカ者!」
逆にお尻に軽くパンチされてしまった。それで弾みがついたワケでもないが……俺は傾斜を下り始めた。
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